概要
数えたら、終わる。家族は今日も五人だから。
父が急死した。相続人は、長男・俊介、次男・和也、長女・美咲、そして母・登紀子の四人のはずだった。ところが遺産分割協議のために実家に集まると、座卓を囲んでいたのは五人だった。
見知らぬ黒い服の女がいる。だが家族全員が「知っている」と言う。長男は「父の妹」だと言い、次男は「母の従姉妹」だと言い、長女は「昔いた家政婦」だと言い、母は「あなたたちの姉」だと言う。同じ人物についての記憶が、四人ともまったく噛み合わない。
立ち会いの司法書士・戸賀の手元には、代々受け継がれてきた一枚のマニュアルがある。そこにはたった二行だけ、こう記されていた。
相続人が法定人数を上回る場合、人数を再確認してはならない。
当該人物に「あなたは誰ですか」と質問してはならない。
見知らぬ黒い服の女がいる。だが家族全員が「知っている」と言う。長男は「父の妹」だと言い、次男は「母の従姉妹」だと言い、長女は「昔いた家政婦」だと言い、母は「あなたたちの姉」だと言う。同じ人物についての記憶が、四人ともまったく噛み合わない。
立ち会いの司法書士・戸賀の手元には、代々受け継がれてきた一枚のマニュアルがある。そこにはたった二行だけ、こう記されていた。
相続人が法定人数を上回る場合、人数を再確認してはならない。
当該人物に「あなたは誰ですか」と質問してはならない。
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