このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(139文字)
ずいぶんと物騒な題名で内容もそうかな、と読むと更にぶっ飛んでいてとても怖かった。と、ここまでは小学生の読書感想文だが実際問題、『こわれたひと』をここまで生々しく描いているものは久しく触れていなかった。この母親が何が原因で精神を病んだのか。それらは『わたし』の視点からは推測でも明らかにはされていない。人間の精神は脆いものである。脆いが故に守ってあげたいという『ココロ』が生まれる。ねえ、お母さん。笑ってよ。
語り手の「わたし」は「お母さんは、たぶん気が狂っている」という。弟ばかりを可愛がり、「わたし」には目もくれない。弟が生まれて構ってもらえなくなったお姉さんのお話かな、と思って読み進めていると、ある事実が明らかになって――。悲しみと切なさと驚きに満ちた、至高の叙情ホラー。読後は騙された快さとキャラクターたちへの痛ましさで、胸の振り子が大きく振れることでしょう。
「お母さんは気が狂っている」──斯く語るは少女「わたし」。「わたし」は「弟」を愛する「お母さん」に悲しんでいる。これは姉の弟に対する愛らしい嫉妬のお話──では、無論、ない。これを「狂気」の一言で片付けていいものか……いいえ、それではいけないでしょうし、読後、あなたさまも きっと片付けられないでしょう。どうしても彼女らの秘められた物語を想像してしまう、極上の短篇ホラー。ぜひともご堪能あれ。
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