概要
乾いた皮肉だけが、湿った痛みを消せることもある。
失恋の夜、隠れ家バーのカウンターで葵はトム・コリンズを啜っていた。元カレが返してきた『ノルウェイの森』を前に、心の傷を強がりで塗り固めようとしていた、その隣に——銀髪の男・Kaiがいつの間にか座っていた。本の言葉を武器に人の心へ踏み込んでくる不遜な栞アバターとの、一夜限りの剣呑な対話。目が覚めたとき、隣の席は空だった。でも、胸に澱んでいた痛みも、どこかへ消えていた。
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