【移動図書館恋愛短編小説】汐見町図書館日誌　失われた言葉を求めて　～潮騒のブックモービル～（約16,000字）

　言葉を失った元編集者・渚莉緒は、故郷の海辺の町で一台の移動図書館「うみねこ文庫」と出会う。温厚な司書・海野湊が運転するその小さなバスは、足腰の弱ったお年寄りや車椅子の少女に本を届ける、町の人々にとってかけがえのない存在だった。

　東京の出版界で数字に追われ、心を病んだ莉緒。本に触れることさえ苦痛だった彼女が、湊の優しさと町の人々の温かさに触れ、少しずつ言葉への愛を取り戻していく。そして二人で始めた、町の古老たちの語る「活字にならなかった物語」を一冊の本にする取り組み。

　潮風薫る港町を舞台に、本への愛と人への愛を描く感動の物語。失ったものを取り戻し、新しい希望を見つける二人の軌跡をお楽しみください！