灰歩きのカレト

　とある異世界。全ての物は灰から生じ、灰に帰ると言われている。
　十四才の聖女フィーネは、どの国にも属さない、商人たちの自治領“商業都市”を訪れる。
　その目的は『自分を看取ってくれる人に会いに行く事』。

　死者の想いを汲み、その亡骸を灰へと還す秘術を行使する“葬儀士”。
　商業都市においては唯一の者。
　彼女はこう呼ばれている——魔女。
　或いは、灰歩きの魔女カレト。

　死に至る聖女フィーネと、死を看取る魔女カレト。
　二人が出会い、接し、やがて別れるまでの物語。