自衛

Kei

自衛

アルバイトを終え、マンションに帰ってきた。オートロックを外してエントランスに入る。自動ドアが閉まるのを見ていたら、若い男が駆けこんできた。


エレベーターに乗り、10階のボタンを押した。男は6階で降りていった。10階で再びエレベーターに乗り直し、自分の階まで降りた。

通路に誰もいないことを確認し、すばやく自室に入る。鍵を閉めてようやく一息つく。


去年ストーカー被害にあってから、常に神経が張るようになった。

女性の一人暮らしは、どれだけ慎重にしてもしすぎることはない。できる防犯対策があるなら何だってしておかなければならない。寝るときには廊下とリビングの間のドアにも駆け金を掛けるようになった。


ベランダに出て異常がないか確認した後、ガラス扉を閉めた。カーテンは閉めない。外が「見えない」ことは不安になるから。


テレビを見ていたら、蚊が飛んでいるのが見えた。

蚊取り線香を20cmぐらいに切って両端に火をつけた。こうすると短時間で効果的だ。煙が立ち上り、風に散らされ、消えていく。



明日、練炭を買いに行こう

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自衛 Kei @Keitlyn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説

工事

★0 ホラー 完結済 1話