概要
……梅酒って、こんな感じのもんだったっけ。
曾祖母の没後、掃除のために母と弟とおとずれたその古い館には。
ほぅら、やっぱり、ロクでもないものが描かれた、隠されてた。
柴田恭太朗様主催の企画『三題噺 #101』参加作品。
お題は「梅酒」「距離」「種族」です。
ほぅら、やっぱり、ロクでもないものが描かれた、隠されてた。
柴田恭太朗様主催の企画『三題噺 #101』参加作品。
お題は「梅酒」「距離」「種族」です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!怪語れば怪至る
ホラー小説において「セリフのリアルさ」の重要性は私ごときが言うまでもない。創作性、幻想性の強い作風であったとしても、少なくとも登場人物を「作者に操られる説明装置」にするのは好ましくなかろう。何故か? この作品はその答えを短く、明確に示している。
嫌々ながら(無意識の内に)怪異の詳細に迫ってしまう主人公。薄々はおかしいと感じつつ、日常という枠から頑なに出ようとしない母親。どちらのセリフも極めてリアルだ。未知を未知のまま放っておけない、恐怖を直視したくない、どちらも現実の人間の本能に根ざしているが故に。
肯定と否定、どちらもリアルが故に、両者の連奏は怪異の輪郭を生々しく浮き上がらせ、ついに…続きを読む - ★★★ Excellent!!!異世界からの侵略酒
曾祖母の家、その地下室にあったのは奇妙な生き物の絵と梅酒だった――。
曾祖母の家は近寄りがたい場所だった。ジメジメとしていて、古びていて、それでいて魔術書や魔法陣のような幼稚なものが溢れている。
そして曾祖母の書いたと思われる小人(ゴブリン)の絵。そして、梅を漬けたような酒漬けのビン。その正体に気づいた時、親子は恐怖に飲み込まれる。
異世界への転移、あるいは異世界からの転移をテーマに描かれるのは、圧倒的な恐怖。作者の生々しく確かな筆致により読者は現実世界に留め置かれつつ、外側からの侵略者の恐怖を目の当たりにする。
この絶妙な読書体験、恐怖体験をあなたも体感してみてはどうだろうか。