赤黒い宴
誰かの何かだったもの
食卓
肉の匂いが漂う部屋に、一人の男が座っていた。彼の前には、焼けた肉の塊が皿に山のように積まれている。しかしその肉は、いつものジューシーな輝きを失い、赤黒く鈍く光っていた。
男は箸を持ち上げ、ゆっくりと肉に触れた。表面は硬く、ざらついていて、まるで皮膚のようだった。恐る恐る口に運ぶと、その瞬間、鋭い痛みが歯茎を貫いた。
肉の内部から、何か小さな生き物が蠢く感触が伝わる。男は吐きそうになりながらも、震える手で噛み続けた。
だが、その瞬間、肉の中から細く白い虫が這い出し、舌の上を這い回った。
男は慌てて肉を吐き出したが、口の中には血と異様な苦味が広がった。窓の外を見ると、遠くの路地に同じように赤黒く変色した肉片が散らばっていた。
あの日から、彼は二度と肉を口にすることはなかった。
その後、彼の周囲で、次々と人々が肉を食べては狂い、そして消えていった。
そして今、この宴の悪夢は、再び始まろうとしているのだ――。
赤黒い宴 誰かの何かだったもの @kotamushi
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