おさがり

高校生の早川真帆は、母の実家で見つけた一着の古いセーラー服を、なぜか捨てることができなかった。
「それ、昔お姉ちゃんが着てたやつなんだよ」
そう祖母が口にしたとき、真帆の中に、姉の記憶がわずかに揺れた。亡くなったはずの姉・日菜との記憶はどれも曖昧で、両親も何かを隠している様子。

――その日から、真帆の周囲で妙な“既視感”が起き始める。
通学路の角、教室の席、見覚えのない夢。
着るたびに、“おさがり”の記憶が少しずつ真帆の中に流れ込んでくるようだった。

これは単なる服なんかじゃない。
誰かの「想い」が、まだこの世界に残っている――

過去と現在をつなぐ、不穏で切ない青春ホラー。

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登場人物：
• 早川 真帆（はやかわ まほ）
　内向的で少し臆病な高校生。過去を忘れている理由に、心の…続きを読む