概要
賤ヶ岳の戦い――それに至るまでの罠
清須会議により、織田信長亡きあとの体制がととのえられた。信長の後を継ぐのは、孫の三法師となり、それを事実上後見するのは――羽柴秀吉である。秀吉は、本能寺の変で明智光秀に討たれた信長のかたきを討った(山崎の戦いで、光秀を撃破)。それゆえに会議を牛耳ったが、織田家重臣である柴田勝家の反発を受ける。勝家は、伊勢、美濃と兵乱を起こして秀吉を翻弄し、ついには秀吉を美濃に釘付けにする。その機に勝家は近江において進撃を開始した。身動きが取れないと思われた秀吉だが、彼には考えがあった。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!※天下人を名乗る成りすまし詐欺にご注意ください。
①史料から存在はほぼ確実だが、名前以外ほとんど何も分かっていない人物
②有名な人物だが、出自や前半生に諸説あって不明な人物
もし同時代の①と②がそろったら、想像力豊かな書き手の絶好の題材になります。そして本作も、数々の歴史短編をものしてきた名手・四谷軒氏に①と②をセットで与えた結果誕生した傑作短編です。
本能寺の変の後、秀吉が旧主・織田家の実権を握るきっかけとなったのが山崎の戦い。そしてその後、完全に織田家を支配して天下人への一歩を踏み出したのが賤ケ岳の合戦。どちらの戦いも、秀吉は敵の予想を超える機動力を発揮して自軍を勝利に導いていますが、本作の舞台は後者です。
賤ケ岳の戦いにおいて…続きを読む