概要
さて顕定……残すところは首だけと相なったな。
春日山城跡で、一人の語り部が語り出すは、かの関東管領の首にまつわる怪奇譚。
虚実織り交ざる、幻想歴史ロマン!
虚実織り交ざる、幻想歴史ロマン!
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!幻想と怪奇の一幕。げに恐ろしきは、妄執と呪い。
越後国の主・永尾為景のもとに届けられたのは、先の関東管領・上杉顕定の首。長い戦いの末にやっと討ち果たした敵の首を前に、しかし為景は不意にある疑問にとらわれ……
冒頭の語りからすっと物語に引き込まれます。物語の舞台もあいまって、まるで能か狂言でも鑑賞しているような不思議な感覚……そしてたちまち怪奇幻想の世界に入り込む次第。
短いお話の中で描かれるのは、関東管領の浅ましい有り様。誰ひとり信じられるものがなく、パラノイアじみた陰謀を張り巡らせ、それゆえに破滅し、それでもなお妄執から逃れられない……その姿には鬼気迫るものがあります。それはまさに権力という魔物のもたらす悲惨さであって、関東管領…続きを読む - ★★★ Excellent!!!歴史浪漫小説!
私は歴史ものを(ほぼ)読んだことがないので、読み始めた瞬間じつは身構えてしまったのですが、圧倒的描写力があって、何が起こっているのか、どんな風景なのかが目に浮かぶ物語として完成度の高いものを読めてかなり興奮しています。
まず物語を書く、ということがとても難しいことであり自分の心だけを出力するだけでは物語として他者が読んでくれるかはとても難しいことだと(わたしは)思っているのですが、それをこの短編の中で見事に物語化させているところが作者様の凄いところであり、歴史や人物のことを知らなくても読めてしまうということは、私はもうこれは技術というか魔法に近いでしょうと思っています。企画の暴力という形…続きを読む