縁起や忌み数という題材を、音楽史に実際に語られる「第九のジンクス」と絡めて描いた構成が見事でした。毎回少しずつ進む夢、楽聖の存在感、そして最後に訪れる称賛と達観――まるでクラシカルな短編映画を観ているような読後感です。発想の新鮮さと文章の完成度が高く、短編として非常にまとまっているので★3評価にふさわしい一作だと思います。
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