ネットフリックス
茶村 鈴香
ネットフリックスの火曜日
男子なのにあの人は
私より少し髪が長い
普段は昔の浪人みたいに
低めの位置で結っている
私は肩にちょいかかるくらい
下ろしてると はねるし
結うには半端な長さ
巻きゴテでなんとかセット
うちのソファはちょっと沈むから
あの人が座ってるその腿に
私は頭を乗せて膝立てて寝て
下のアングルからあなたを見てる
ネットフリックスを観ながら
あの人は私の髪をもて遊ぶ
せっかく巻いたのにお構いなし
左手にリモコン持って
あの人はちょっとだけ平熱が低い
だから手は少しだけ冷たい
猫の細い毛を撫でるみたいに
触るか触らないかふんわり撫でて
ゆっくり前髪を
ゆっくり指を通してかきあげて
右の耳の裏側に指が触れて
冷たい指で撫でられる
髪を梳りながら首すじを
辿られると声が出そう
「もうなに、くすぐったい」
照れ隠しに怒ってみせたり
ネットフリックスであの人は
『インターステラ』を見ている
不安をあおるBGM
宇宙なんて怖い
どうせなら
『スターウォーズ』観ようよ
『ディープインパクト』は悲しい
『アルマゲドン』は主題歌が好き
「レイア姫の髪型ってさ…」
とか言いながらツインテにして
ぐるぐる巻いてカモジ入れて
「ロールデニッシュ食いたくならん?」
美容師の男と恋するな
つて言うけど
したもんはしょうがない
見かけで選んで選ばれた訳じゃない
デートは火曜日だけ
普段 夜食は深夜
明日の勤務する時用にって
サンドイッチだけ作ってあげる
たまごとハムとレタスでいい?
ネットフリックス 茶村 鈴香 @perumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます