詩の中で生きるこの登場人物は、ありふれた生き方の中でありふれて年をとり、そして、ありふれた別れや哀しみも経験し、ありふれた生活のために目覚ましに起こされて、ありふれた夜の記憶をたどり、オレンジ色を想像しながら苦い苦い黒を啜る。特別ではないこの人の人生に、なんだか親近感が湧いてしまう。そうしてこの人の一日を想像してしまう。なんでもない一日の始まり。なんでもない朝。そんな情景が何よりも美しく見えます。是非、ご一読を。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(142文字)
微睡み。それを仮眠と言葉を変えると、まるで印象が違う。けど、意味は同じです。スラング英語の『get out』これには意味が2つあるそうです。1つは『出ていけ!』そして、もう1つは『マジで?』同じ言葉なのに意味が違う。会話の前後や、発する表情で意味が変わるそうです。言葉のチョイスで意味が変わる。おもしろい現象です。微睡み。ファラドゥンガ様の表現で、それを妖精の仕業と思うと、優しく、詩的に感じます。巧みな言葉のチョイスがステキです。
《ことばは万有の上にただよい、無の上にただよい、表現にたえるものとたえないものとのかなたにただよった。》――ウェルギリウスの死より――だ、そうです。書いたのはヘルマンさんですが……。死と眠りはどこか似ていて、どこもかしこも全然違う。でも、『言葉が漂う』点でやっぱり似ています。そんな漂う『むにゃむにゃ』を詩に起こした、本作。ぜひご覧ください。すばらしい作品です。
朝の眠気との戦いが、微睡みの精が優しく語り掛けているんだと思ったら、なんだかとてもやさしい気持ちになれるようでした。柔らかく優しい文体に、春の日差しの下にいるような、ゆったりとした気持ちになれるようです。
朝の風景を切り出した、どこかユーモラスな雰囲気のある2篇の詩で構成されています。じっくり読んでいくとその奥に潜む背景も、「おや……?」と想像を膨らませたくなる作品でした。
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