概要
才能は、盗める
高齢者介護を行うホームヘルパーの「柏木鈴江(かしわぎすずえ)」
推しの配信者の活動を見ることと小説を書くことをささやかな楽しみにする毎日に、それなりに満足していた。
そんな彼女はある日、担当している高齢者「安藤太一(あんどうたいち)」から、自分の余命はいくばくも無い事を聞かされる。
そして安藤は原稿用紙の束を手渡してきた。
自らの生きた証なので自費出版して欲しい、と言う言葉と共にお金を渡される鈴江。
家に帰り何気なくそれを読み始めるが……
推しの配信者の活動を見ることと小説を書くことをささやかな楽しみにする毎日に、それなりに満足していた。
そんな彼女はある日、担当している高齢者「安藤太一(あんどうたいち)」から、自分の余命はいくばくも無い事を聞かされる。
そして安藤は原稿用紙の束を手渡してきた。
自らの生きた証なので自費出版して欲しい、と言う言葉と共にお金を渡される鈴江。
家に帰り何気なくそれを読み始めるが……
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!埋めていない石器はどれか
人間の欲望を書いた作品。主人公は小説書きで、有名になりたいという欲望からヘルパーの仕事で出会った老人の作品をコンテストに応募してしまう。こんなことをしたら、ばれてしまうかもしれない、小説の作者に怒られてしまう。しかし、物語の展開はそれをはるかに超えた結末に向かっていく。
こうした行為は「盗作」と言われるだろう。そして、創作者として盗作行為は許されない、皆がそう思うだろう。しかし、自分を大きく変えてくれる宝が目の前に現れて、それを見なかったことにできるだろうか? これは昔からの自論でもあるが、いつ誰がこういう行動に走ってもおかしくはないと考えている。この作品に有り得ないと笑う我々こそ、この…続きを読む - ★★★ Excellent!!!才能を持つこと、傑作を世に出すこと。それは「幸せ」への切符となりえるか
「才能」という言葉はなんとも罪なもの。それを強く感じさせられる物語でした。
介護施設で働く鈴江は、ある時に入所者の安藤が書いたという小説原稿を手に入れる。それは鈴江には到底書きえないような優れた作品だとわかる。
グラリと心が揺れ動き、鈴江はそれを自分の名前で小説の新人賞に出してしまう。結果は見事に受賞。
でも、そこからが彼女にとっての悪夢の始まりだった……。
余命いくばくもないはずの安藤の原稿なら、盗んでも平気なはず。だから絶対に誰にも気づかれない。彼女はそう思っていた。
その後は、サスペンスに次ぐサスペンス。ハラハラさせられ続ける展開が待っています。
もしも盗作の件が…続きを読む