概要
私の兄さまは、誰よりも立派な勇士。きっと何匹もの炎龍鳥を狩ってくる。
結婚適齢期を迎えた青年たちの通過儀礼である〈炎龍鳥狩り〉。危険な儀式に挑む青年たちの無事を祈って、血縁の娘たちは、その血の呪力を込めて皆で刺繍を施した新しい上衣を贈る。九歳のプディヤは、この、〈糸の姉妹〉の仕事に、今回、初めて加えてもらった。
アジア山岳少数民族風異世界で、年の離れた従兄への幼い初恋に心を揺らす少女を描く、異世界風土記的ファンタジー
アジア山岳少数民族風異世界で、年の離れた従兄への幼い初恋に心を揺らす少女を描く、異世界風土記的ファンタジー
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!幼い思慕のすべてを祈りへと昇華して、少女は少しだけ大人になった。
敬愛する従兄ユウアムの婚礼衣装に刺繍するプディヤの恋は幼く淡く、どこまでもキラキラとしています。けれど、それを描き出す一文一文は大人の艶やかさで、読んでいるこちらを彼女の住む世界に引き込みます。
この引き込まれた先の世界! プディヤがユウアムへ向ける眼差しが、なんとも美しい! ユウアムがプディヤに向けてくれる眼差しが、慈愛に満ちてとてもとてもやさしい!
物語はまるでピンと張った絹糸の上を注意深く渡っていくようで、読み進むほどに〈糸の兄妹〉という秀逸な風習やその関係性、構築された世界に息を潜め、最後にはため息しました。
短編ではありますが、読み飛ばさずにじっくりと堪能したい物語です。