敬愛する従兄ユウアムの婚礼衣装に刺繍するプディヤの恋は幼く淡く、どこまでもキラキラとしています。けれど、それを描き出す一文一文は大人の艶やかさで、読んでいるこちらを彼女の住む世界に引き込みます。
この引き込まれた先の世界! プディヤがユウアムへ向ける眼差しが、なんとも美しい! ユウアムがプディヤに向けてくれる眼差しが、慈愛に満ちてとてもとてもやさしい!
物語はまるでピンと張った絹糸の上を注意深く渡っていくようで、読み進むほどに〈糸の兄妹〉という秀逸な風習やその関係性、構築された世界に息を潜め、最後にはため息しました。
短編ではありますが、読み飛ばさずにじっくりと堪能したい物語です。