圧倒的、かつ静謐かつ厳粛に起こる「世界の終末」

 とてもつもない壮大さを持つ掌編作品でした。

 ある日、世界に出現した天使たち。
 天使は可愛らしい姿をしている。だが、天使に触れられたものはその場で魂を天に召され、現世での肉体は死を迎える。

 次々と現れる天使たち。その事態に、人類はどう対抗すればいいのか。

 ラストのオチも絶妙。「なるほど!」と思わせられるものがありました。

 あまりにも圧倒的。人間的な感情など一切入り込む余地のない、強烈な余韻を残す作品でした。

 淡々と事実を紡ぐような、静謐感のある文体。そこから織りなされる「世界の終末」の風景は、かつてない感興へと読者をいざないます。