超現実アナザー・ワールド ～異世界でもぼっちはぼっちだった件～

コミュニケーション能力が壊滅的な主人公が、どこか見慣れた異世界で新たな人生を始めるファンタジー作品です。

主人公は喋れない、目付きが悪い、常に不機嫌に見えるという孤立を極めたかのような性格をしています。

転生を果たした後も性格自体は変わりませんでしたが、失敗を繰り返さないという心持ちだけは身に付けました。

そのおかげで、ぶっきらぼうに見えつつも会話は成立するようになり、昔馴染み相手では自分から話かける余裕すら生まれています。

彼が転生した世界は、遥か昔に大いなる戦いが終結した世界。

人はテクノロジーを享受し、異能は使用される機会を減らし、魔物は大きく数を減じてしまった世界でもありま…続きを読む

異世界転生と書いていますが、現代風の異世界に転生。

無論ファンタジー要素もありますが、それは全てコメディに必要な舞台設定のようなものです。

重圧感ある文章と、ミスマッチな主人公の思考や行動。そして周囲の思っている主人公像が完璧にズレていて、絶妙な笑いを提供してくれます。

以外と世界の設定が作り込まれていますが、そんなのどうでも良いです。
残念な思考の主人公と、その見た目や周囲とのギャップが面白い。

そして、AIと主人公の会話がコントのように軽快で、笑えます。

コメディが好きな方におススメです！

異世界転生モノといえば、そのあたりの知識に明るくない私は、何となくステレオタイプ的異世界（中世ヨーロッパ的建造物など）を思い浮かべるのですが、本作は超現実的世界。「アカツキ」に転生した主人公を取り巻く日常の物語です。
文章に伏線と言うか、次の展開を示唆するような文面が散りばめられているうえ、言葉遊びが心地よかったです。
とても面白く読ませていただきました。

異世界転生までの道筋を丁寧に書いて、その上で物語を展開させていく話は珍しいと思います。
異世界モノでありながら現代ファンタジーのような不思議な作風です。