日輪を掲げる夢

落ち着いた語りが、一人の男の人生へと誘（いざな）ってくれます。
仄かな志を抱いていた若者の頃、そして彼の運命を変えたともいえる荀彧との出会い。曹操からの召し出し。
三国志における物語の流れの中で、彼の人生が語られていきます。

重厚な雰囲気に浸りながら、暫し彼の歩みを見守ってみませんか。
義軍好きな方にお薦めの短編です(^^)！

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（65文字）

『日輪を掲げる夢』は、泰山の霊的な世界観と三国時代を生きた武将・程昱（ていいく）の壮絶な人生が交錯する、壮大な歴史ファンタジーや！
主人公の程昱は、三国志の歴史の中でも屈指の知略家として知られる人物。彼が夢の中で泰山を旅しながら、自身の人生を振り返る――そんな幻想的な構成が特徴的やで✨
彼が歩んだ道には、戦場の激闘や、曹操を支えた智将たちとの熱い友情、そして時代の波に翻弄される男の葛藤が詰まっとる！

さらに、この物語にはただの歴史ものとは違う魅力があるんや。
それは、泰山という"死者の魂が帰る場所"が、彼の人生とリンクし、"生と死"という深いテーマが物語を包み込んどるところ…続きを読む

末期の夢の中。
主人公の人生が回想となり、舞台劇のように一幕一幕と展開されます。

そして、最後に。
彼が何を為し、どう遇されたのか？
その生涯が立ち現れるのです。

淡々と、しかし深々と胸の奥にとどく最後の一文と作品の表題。

読了したときには、大きな感慨が読む者に訪れることでしょう。

すべての三国志愛好者の方はご覧ください。
最も長く曹操を支えた軍師の物語が、ここにあります。

三国志の見どころの一つに、各陣営の軍師たちの活躍があります。
この物語で書かれるのは、董卓討伐に失敗し、各地に群雄が割拠する中であえいでいた曹操を支え続けた、長身で、立派なひげをもつ、堂々たる軍師です。
彼の生涯を、三国志に初めて触れる読者にもわかりやすく、かつ親しみやすく、格調高い文章で描きだしています。