物語はシリアスなのに、冷凍食品が混ざり込むだけで笑いが生まれる
- ★★★ Excellent!!!
※読み合い企画からのレビューです
絶望と共に死に至るエルフ族が唯一希望を見出せるもの、それは冷凍食品だった──というトンチキな導入から始まる本作品だが、マクガフィン的に冷凍食品である必然性はまったくない
薬草でも、不思議な力のある宝石でも、魔法の指輪だっていいはずだ
だが、そんな物語はカクヨムに溢れている
だからこそ、作者は「冷凍食品がなければ死ぬエルフ」という素っ頓狂な設定を持ち出し、この物語をコメディに変えたのだろう
『日清中華 ジャージャー麺』(日清)
『ライスバーガー牛カルビ』(テーブルマーク)
『わが家の麺自慢 濃厚ごま香る 汁なし担々麺 』(ニッスイ)
と、冷凍食品の正式名称にメーカー名まで丁寧に表記されているところが余計に笑いを誘う
個人的には、旅に出る主人公を止めようとするヒロインへの対処が『井村屋謹製たい焼き(つぶあん)』(井村屋)を放り投げること、だったのがいちばんツボだった
フリスビーを投げられた犬か
なんだか不思議に面白い本作は、短いがゆえにすぐ読める
試しに読んでみてはいかがだろう