エピローグ『赤いサテンクロス』

「ゲホッ! ゲホッ! ん"ん"ッ💕 ヤダヤダ、慌てて飲み干しちゃったから、気管に入ったかもッ。せるわァン……でも、静かにしないとッ。ヌキアシサシアシ♪ アカダシナマ足♪ あーしの御御足オミアシクサイ足ッ!」


 フィンランド北部・ラップランド地方ロヴァニエミ市は誰かの家に、侵入したミニスカー・サンタ。

 いや、今や、サンタ。


 おもちゃがたくさん、子供部屋。すね毛の濃い生脚が、そろりそろりと忍び込む。スヤスヤと眠る、少年の枕元。大きな靴下状の袋に、プレゼントの箱が入ってゆくのだが……


 少年の目が、パチクリと開かれる。


 ⚡︎🎅!!


「あっ! サンタだーっ!」

 飛び起きる少年。


「シーっ! おうちの人に、聞こえちゃうってばァ!」

 息の多く混じったウィスパーで、サンタ。


「あ、、ふろしき、汚れてる」


「あらやだッ。急いで来たから、どこかでぶつけて汚しちゃったのかなァ? 気づかなかったヨォ」


 ミニスカサンタは、しゃがんで、目線の高さを合わせてやり、少年の頭をポンポン。


「あっ! のおでこ、怪我してる……」


 オジサンの顔、結構少年の顔に近め。


 そして!


 赤い三角帽子サンタ・ハットが、もぎ取られる。


 カミが……


 ない。


 ✝️アーメン✝️


 ツルッとした光沢の、スキンヘッドがあらわになる。


「そう、この稲妻形イナヅマガタの傷、壺屋ポッターのハリーみたいで──」


 なぜか、凍りついている、少年。そして……



 絶叫。



「ぎゃーっ! ミニスカサンタなのに! ハゲつるピンだーっ! ママー! パパー! 化け物がいるぅー!!!」

 

 少年は、全速力で、親へ報告に。


「やばッ! 大ピーンチよォン!」


 慌てて逃亡、ミニスカサンタ。

 大きな背中に背負しょうのは……


 鮮血のようなTOMATOトマトジュースで染まった、白かったはずの風呂敷包ふろしきづつみ


 美しい光沢の赤いサテン生地クロスの輝きは

 部屋の明かりをツルりと反射する頭頂部と

 そっくりだった。



   赤いサテンクロス〈完〉

 ~♪ 『ジ⚪︎ジ⚪︎〜その血の運命〜』的カッチョいい曲で〆 ♪~

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赤いサテンクロス 加賀倉 創作 @sousakukagakura

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