第十七話『宴会!! 三角Δロース』

 暖炉だんろの赤い火。

 茶店サテンマゼンタ。

 

ミ「サンタ・オブ・ブレイキングぅ、改めまして……よく帰ってきたわネェ! おかえりめりくリィ!」

サ「だな。無事で、本当によかったよ」

ブ「ああ。二人とも、心配をかけて、すまなかった。そして、目覚めさせてくれて、ありがとう」


 三角Δロースサンタ・デルタΔフォース──ミサブ(MISAM◯ from TWI◯E的)──のさんサンタは、熱い抱擁ほうようを交わす。


 窓の外の宇宙鹿トナカイたちも、嬉しそうにその場でタップダンス的ステップをしている。


ブ「ゲッ! ミニスカー・サンタ、なんか下半身がべっとりしてるぞ?」

ミ「エッ!? あらほんとだワァ、ヤダ〜」

サ「なんだ、それ? 赤いが……血か? サタンか赤い悪魔レッド・アクーマーの、血じゃないか?」


 それは、確かに、粘性の、赤黒い、悪魔族の血のようだった。


ミ「サイアクぅー! まぁいいや、お部屋あったかいし、脱いじゃえッ! ポイっ!」


 ミニスカー・サンタは、紅白の宇宙服サンタコスモ・スーツ(下)を脱ぎ捨てた

 丈が長めに設計されている紅白の宇宙服サンタコスモ・スーツ(上)のすそも相まって


 ちょうどサンタのような見た目になっている。


サ「おい、ミニスカー・サンタ。ミニスカサンタみたく、なってるぞ?」


サ&ブ「「ガハハハ!!」」


ミ「うるさいッ! 気にしな〜い。にしても、最後のパンチ、『千打拳センダグローヴ』だっけェ? アレ、凄かったわねッ! サタンをフルボッコ!」


ブ「ああ、脅威は去った…………


 ふと、部屋の隅に捨てられてクシャッとなっている、悪魔族の血のついた紅白の宇宙服サンタコスモ・スーツ(下)に目をやる。


 ん!? いや、待て! 奴は子供たちの血液を使ってパワーアップした。その上注射は、144本も。つまり……犠牲になってしまった子供が数多くいるということだよな?? 俺たちは……全員を守ることはできなかったんだ!! まるでダメじゃあないかッ!! クソゥッ!!!」



「ふふ……それはどうかな?」

 ちょっと離れたところで遠慮がちに座る、茶店サテンのマスター。



ミ「ま、マスター、どういうことなノッ??」


マ「あれ、血じゃないだろう」


サ「血じゃない? どういうことだ? あんな赤い液体、他にないだろう?」


マ「ありゃ、どう見ても、トマト汁入りビールレッドアイだろ、ウチの」


ブ「じゃあどうして……サタンは巨大化したんだ?」


マ「こんな言い伝えがある。大魔神サタンは下戸ゲコであり、トマトアレルギーでもある。よって、アルコールとトマトを静注じょうちゅうして、アル中で毒素アセトアルデヒドまみれ、かつトマトアレルギーによるアナフィラキシーで体がパンパンに炎症して大きくなっただけ、というわけだ」


ミ「なるほどねェン……でもォ〜、見た目もゾンビみたいに赤黒ぉ〜かったし、あんなに変わるものかしらァ?」


マ「レッドアイ注射の副反応のせいで帯状疱疹たいじょうほうしんになったんだろうな」


サ「そうかわかったぞッ! サタンは闇黒面ダークサイドの使い手、のエネルギーをフォースに変えられる。だから、あれだけパワーアップできたのかッ! となると、黒き三太ブラック・サンタ状態も、てっきり子供の血を注入されたせいで暴走したものかと思っていたが……あれもただのトマト汁入りビールレッドアイ静注による副作用だった、というわけかッ」


ブ「おうよ、俺はトマト嫌いの光と闇のハイブリッドカオス・サンタだからな。注射が闇黒面ダークサイドと、うまく噛み合ったんだ」


(※普通の光明面の三太ホワイト・サンタがレッドアイ注射を打っても強くはなれない上に、最悪の場合お亡くなりになってしまうので、打たないように)


マ「まぁ、済んだ話だ、そろそろうたげに入らんのか? 今日は……24時間営業、闇深い酒場ブラック・サカバだ。いくらでも付き合うぞ?」


ミサブ「「「マスター!!! さっすがぁ!!!」」」



 🍅🍺🐓🥩



 銀ピカ金属アルミトレー上のΔデルタ形の肉。

 赤身の中に、適度に霜降りサシが入っている。


 友三角ともさんかくである。


ブ「この霜降しもふり肉、真っ白で雪みてえだなァ!」


マ「それは、さんサンタの情の証! 友三角ともさんかくだ。おごりでいいよ」


サ「ロースも忘れずになッ! 積もる話を肩ロース、なんつって!」

ミ「鶏唐揚げもネッ! カラアゲテンションよォン!」


ミサブ&マ「「「「がははは!!!」」」」


サ「改めて破壊王、レッドアイを打たれた気分はッ?」


ブ「最悪だったね。だから俺は今日も、トマトNG! 醸造酒ビールだ。おいマスター、まさかこれ、スーパ◯ドライじゃあないよな?」


マ「わーってるよ。レッツドルゥァイ!」


サ「俺たちはいつも通り、度数低めのトマト汁入りビールレッドアイだよな、ミニスカー。マスター、トマトジュースは入荷してる?」


マ「おう。さっき納品、来たぜ」


ブ「おいお前ら、怪しい赤い液体で、暴走するんじゃねえぞ?」


ミ&サ「「お前に言われたくないわッ!」」


ブ「あっはっは! 悪い冗談だよなぁ! ブラックジョーク!


 マスターによって、酒のグラスが人分、運ばれてくる。


 よし、じゃあ行こうか……せーのッ!」



「「「「🍅かんぱーい🍺」」」」



 醸造酒ビールを、トマト汁入りビールレッドアイを、ゴクゴク。

 付け髭が外された──仕事終わり──の人中ハナノシタに、紅白の泡をつける。

 (※一気飲みはやめましょう)


ブ「くーッ! うめぇッ! 今日は、朝まで飲むからなッ! 皆んな、付き合えよ〜ッ?」


マ「いや、朝まで、は無理だろう……ほら、外見ろよ。もう……おさんは昇り始めてるみたいだぞ」


 皆して、結露けつろの激しいガラスの窓越しに、外を見る。


 極度乾燥スーパードライした針葉樹モミの森には、葉の合間をうようにして、朝日アサヒし込む。


 そして……


 白銀はくぎん雪上せつじょうから生える針葉樹モミかげ


 忘れ去られた、白いサテン生地の風呂敷包ふろしきづつみが一つ。


「あァーッ!!! いっけな〜いッ!!! あそこにプレゼント一つ、届けるの忘れてるわァン! アタイ、行ってくるッ!」

 ミニスカー・サンタは、そう叫ぶとトマト汁入りビールレッドアイをクイッと飲み干して口元を赤くしながら……


 下半身をほとんど露出した状態で、残業三太サビザンタへ……

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