【資料⑥】《埼玉16歳少年・母親殺害》「支え合って生きている親子だった」

 2022年2月16日、埼玉県警はK市に住む高校2年生の少年(16)を殺人容疑で逮捕した。当初、殺人未遂容疑であったが、少年自身が犯行を認めたことから、16日時点で殺人に容疑が切り替わった。


 9日深夜、少年が自宅マンションの一室で母親(42)を刃物で刺し殺した、とされる衝撃的な事件である。




 殺された母親と逮捕された息子。ふたりは仲の良い親子として近所で有名だった。「買い物に一緒にいく様子をよく見ました」と複数の近所の住民は語る。


 なかでも、長いこと現場となったマンションに住んでいるという女性が、親子について詳しく語ってくれた。




「ふたりは特に仲が良かったと思います。というのも、奥さんは数年前にご主人を交通事故で亡くしてるんです。確か、まだ息子さんが小学校高学年のころだったと思いますよ。彼女、子どもはひとりしかいないって言っていましたから、より親子ふたりの絆が深かったんでしょうね。支え合って生きているという感じでした」


 隣人は続ける。


「奥さんはいつも小綺麗にして感じの良い方でした。町内会だとかマンションの自治会会合にもよく顔を出してくれていましたし、近所付き合いも比較的良かったと思います。息子さんも反抗期の年齢だっていうのに、どんなに急いでいても挨拶をしてくれるような、素直で良い子でした。事件があった日のちょっと前にも、ふたりで駅前のデパートで買い物をしているのを見ましたよ。だから、正直なところ、なんであんなに仲の良い親子の間で、あんな事件が起こったのか……不思議なんですよね」


 夫を喪いながらも、それでも前を向いて、一人息子とともに支え合って生きていた母。少なくとも周囲からは、ふたりは仲の良い親子に見えていた。




 ではなぜ、彼女に惨憺たる悲劇が襲ったのか――?


 仲の良い親子であったふたりの間に、何が起こったのか――?


 


 マンションの一室で先日まで行われていた現場検証は、すでに終わっている。警察官の姿はなく、規制テープも取り払われてしまっていた。


 彼女を襲った悲劇の裏に何があったのか、それが明かされる日は来るのだろうか。




(次回配信:2022年3月1日)




――週刊英春ONLINE(2022年2月22日配信)

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