風の谷の約束

27歳の千秋は、平凡な日常に虚しさを感じながらも、旅行ライターの友人・成瀬の誘いでトルコのカッパドキアを訪れる。奇岩群や地下都市、岩窟教会で触れる壮大な自然と歴史は、彼女の心に眠っていた疑問や欠けていたものを浮き彫りにしていく。古い手紙に刻まれた「風が運んでくる明日を信じる」という言葉は、過去の声となり千秋を揺り動かす。

旅の最終日、気球に乗り込んだ千秋は、広大な景色を眺めながら「遠くへ行くことで自分の答えを探せるかもしれない」と気づく。そして帰国後、カッパドキアで感じた思いを形にするため、自ら文集を作り始める。それは、彼女の新しい旅の第一歩だった。