一度読んだら忘れられない、強烈なヴィジュアルイメージを持った作品

 「スイッチ」というものが、強烈なイメージとして迫ってくる話でした。

 強迫性障害の主人公は、スイッチを見ると押さずにいられない。
 そうして次々とスイッチを押すのですが、主人公の日常が強烈に変化していく。

 ごくなんでもない場所に、「スイッチ」が出現していく。スイッチは一回押せば消えてくれるけれど、「一回でも押してしまう」と次からも現れ続ける。

 スイッチという、日常のなんでもないものが「恐怖」として描かれ、更にそれらがどんどん日常を埋め尽くしていくという、今までにないヴィジュアルイメージが提示されました。
 無機物なのに「集合体恐怖」のような存在感を持ち、更に主人公が麻薬中毒にでもなって抜け出せなくなっていくような、独特で鮮烈なインパクトを持っています。

 すごい存在感のある作品でした。一度読んだら忘れられない、圧倒的なインパクト。是非とも手に取って確認していただきたいです。

その他のおすすめレビュー

黒澤カヌレさんの他のおすすめレビュー534