ハイタッチを望む程に好ましい設定と、第一話。
- ★★★ Excellent!!!
本作はあらすじの設定段階で、目新しく思える設定が見え、興味を持ちページを捲った。
本作者がどのようなインプットを通じて本作の執筆に至ったのかを知りたく思えるような設定が、色々な小説を読んでいると存在するが、本作もそれに値する良い設定だと思えた。
少なくとも『悪役令嬢物』と呼ばれるテンプレートに則している作品ではないように思える。
だが、だからこそテンプレートという物に食傷気味である読者にとっては、垂涎の作品に成りうるかも知れないと思った。
一話を読み、悪役令嬢であるところの『ルールティア』が、『僕らの現実から見た悪役令嬢物小説のメタ的な視点』をハッキリと説明する点がまず面白い。
自分も元々は物語を書く側だったが、そのシーンにふわりと香っている、上質なスパイスでも振り抱えたような軽いブラックジョーク感に、個人的にはもう既に虜となってしまった。
そうして、そのメタ視点を言い出す側、つまり現段階に於いては、悪役令嬢とされている側からの一人称視点の物語ではないというのも、斬新だと思える。それについては今後のギミック的な要素の可能性を逆に自分がメタってしまう事になるのでこれ以上は言及しないが。
悪役令嬢を扱った作品は多かれど、このような設定にしてくる作者様には、思わず脱帽してしまうと同時に、素晴らしきアウトプットであると称賛したいと、あらすじと二話までの間で既に思ってしまい、レビューを書かせてもらった次第である。
一話と二話を読む限り、長編化したとしてより面白くなる可能性を秘めている。
タグにて短編と称されていたものの、完結済みの記載を見落とし『この先をも』と期待してしまう展開故に、まだ話が続くのだろうと初見の時は読み違えてしまった事を、1レビュアーとして申し訳なく思い、酷く赤面しながら書き直している次第である。
ともかく、この先をも読みたいと思える作品であった。
良い意味で『物足りないくらいが丁度良い』とは良く言うものの、長編化する事があれば、喜んでまた読みに来たいと思うくらいに、本作の設定には可能性と期待と、個人的な好ましさが詰まっていた。