ば行の逆襲はこれからも続く
3
「……先日のスポーツ大会への助っ人、大変良い評判でした」
「それは結構なことです」
べからの報告にびが満足気に頷く。
「良いトレーニングにもなったからな。まさに一石二鳥だった……」
「確かにそうだな!」
ぶの呟きにぼが反応する。
「……」
ばは黙っている。
「スポーツでの活躍は良いアピールになったということですね」
「ええ」
びの言葉にべが頷く。
「今後も継続していって良いのでは?」
「確かにな!」
ぼが大きく頷く。
「異論はないな……」
ぶも賛成の意を示す。
「そういった依頼などは来ていないですか?」
「そうですね……」
びの問いを受け、べが自身のデスクに設置された端末を操る。
「………」
「あ、ありましたね……」
「……待て」
「前回よりは規模が少し小さいスポーツ大会ですが……」
「ちょっと待て!」
ばが声を上げる。べが驚く。
「ど、どうしました?」
「発想が安易だろう」
「どういうことですか?」
「スポーツ連チャンは如何にも芸がねえってことだよ」
びの問いにばが答える。
「バトントワリングはなかなかどうして様になっていたと思うが?」
「ああ、魅力的だったぜ?」
ぶとべが笑みを浮かべながら告げる。
「そ、そういう評価はあまり要らないんだよ! 他だ、他!」
ばが自身のデスクをドンと叩く。
「……ということで文化系サークルの手伝いですか……」
「まあ、スポーツではないのならばこっちかなと……マズかったですかね?」
びの呟きに対してべが反応する。
「いいえ、極めて妥当な判断だと思います……」
「皆、同じサークルを手伝うのか?」
「いや、それぞれ別のサークルに呼ばれています」
ぶの問いにべが答える。
「べさん! こちらにお願いします!」
「あ、はい! ~~♪」
「す、すげえ!」
「な、なんてファンキーなんだ!」
べの演奏にギャラリーが大いに沸く。
「軽音楽部か?」
「『ベース同好会』らしいですね」
首を捻るぶにびが答える。
「ベ、ベース限定なのか……」
「ぶさん、お願いします!」
「ああ……これを殴れば良いのか?」
「はい、思い切ってやっちゃってください!」
「ふん!」
「おおっ! こ、これは我々ではなかなか取れないデータだ……!」
「『物理学研究会』に役立つとは……なにが向いているか分からないものですね……」
「びさん、こちらにお願いします!」
「はい……」
「す、すごい、細マッチョ! ヌードになっても絵になるわ!」
「褒められているのなら悪い気はしませんね……」
『美術部』に招かれたびはヌードモデルをしっかりと勤め上げた。
「ぼさん、お願いします!」
「おう!」
「おお、良いですね~!」
「ぼちゃん、『ボードゲーム同好会』に呼ばれたのか……結構楽しんでいるみたいだけど、びちゃんと逆の方が良いんじゃないか? お? 俺の出番か? 気合入れていくぜ!」
「しーっ……! お静かにお願いします……」
『バードウォッチング部』の部員がばを注意する。
「……助っ人要るのか? こ、こんなはずでは……」
ばが小声で呟く。またもリーダー格のばのみ、ストレスがたまる結果となった。
五十音戦士外伝~ばびぶべぼの逆襲~ 阿弥陀乃トンマージ @amidanotonmaji
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