神、人、妖が織り成す美麗な和風ファンタジー

読んでまず最初に感じたのは、とにかく描写が綺麗ということです。雪の中を歩くシーンひとつをとっても繊細に綴られ、冷えた冬の空気を実際に肌で感じているような気になるほど。その文章力は登場人物の姿や風景、料理なども緻密に紡ぎ、和風ならではの美しさが溢れています。
しかしただ美しいものだけを書くばかりではなく、強欲な人間の浅ましさ、人間を憎む妖の敵意に満ちた態度などもぼやかさずに書ききっており、そのおかげで真桜や彼女に味方する者たちが非常に魅力的に思えました。

暁翔が真桜をめちゃくちゃに溺愛してそばに置いているというよりも、真桜の意思を尊重し、それを支えるような立ち位置で寄り添ってくれるのがとてもよかったです。

そしてなんといっても、しろ・まる・くろがとても可愛い! ただのケサランパサランかなと思わせておいて、後に可愛い正体が判明します。真桜の食事シーンに現れる彼らの無邪気さがとても愛らしいので、期待してお読みください。

暁翔と結ばれたことで元々強かった力がレベルアップした真桜ですが、その力を振りかざすことはなく、どうしたら助けるべき者が幸せになれるのかをきちんと考えて行動する優しさが素敵です。辛い扱いの描写が暫し続きますが、ぜひ真桜を応援しながらお読みください。

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