バックヤードの女たち

「洋服の販売なんて、誰にでもできる仕事！」 　
エリート一家に生まれ、努力などしなくても優等生だった、早坂杏理（はやさか あんり）は、努力を怠った結果、就職浪人となり、東京から実家のある田舎へと強制送還された。世間体を過剰に気にする両親への当てつけとして、アウトレットモールでショップスタッフのアルバイトを始めた。 　
自分の力ではなく、権力を持つ者の力を利用して”上を目指す”ことに可能性を見出し、十八番の”取り入り”で、妻子持ちの店長、本田の愛人になることに成功した後藤田真美（ごとうだ まみ）は、力を持たない平スタッフを見下し、正社員にのし上がろうとしていた。 　
表向きは「仕事一筋！ 生涯独身主義！」を貫く、販売員歴２８年アラフィフのベテラン販売員、坂東悦子（ばんどう えつこ）は、同期入社…続きを読む