この小説の面白さの正体がわからない。たとえば「文学」としか。
- ★★★ Excellent!!!
本作のジャンルに「サイコホラー」とか名前をつけることはできるんだろうけれど、そうではなく、分からないまま「文学」と呼びたい。文章の妙が抜群にいい。内容が、というより、この滋味ゆたかな文章のさきを求めて駆け抜けた。ゆらぎのある文章。これをさいごまで筋を失わせないままコントロールできる(あるいは逸脱してももとに戻せる)のは技術であり才能だと思った。誰でもピカソになりたいように、こういう文章を書きたいひとは多いだろう。けれど誰にも成し遂げることはできない。それをオリジナリティと呼ぶ。