第18話 空島レース決着!

 *ハル視点*


 「さあ空島レースも佳境に入ってきましたのう! 雷雲地帯から飛び出してきたのは……ブレイズ、シエロ、ノクス、オーリス!!」


 雷雲地帯の先には四つ目の輪がありますのう。その先には青空が澄み渡り、レースの邪魔をするものは何もありません。


 ブレイズ、シエロ、ノクス、オーリスは四つ目の輪を通り過ぎましたな。


 ただわしとしてはフェン様と勝様とリリスがいないことが気がかりですな。リリスは空島を熟知しているはずなので大丈夫だとは思いますが、フェン様と勝様は雷雲の核に行ってしまわれた可能性がある。


 どうか無事で居るとよいのですが。


 先頭集団の様子は混戦状態です! 


「貴様らそんなものか! このブレイズ様が一位を頂いたな!」

 ブレイズが力強い飛行で後続に差をつけようとするも。


「俺っちは風の貴公子だから、風を優雅に使うのさ!」

 シエロは自身に突風の渦を身に着け、ぐんぐんと加速してブレイズに追いついていきます。

 それはフェン様が使われていたストームアーマーに似ているもので、優れたものは取り入れようというシエロの心意気を感じますのう。


「……甘い」

 シエロの体に黒い闇がまとわりつき、風の鎧が消えてしまう。

「俺っちの風があああ!」

 シエロの魔力分を吸ったノクスが失速したシエロを置き去りにしてブレイズを追いかけます。漆黒の風を纏うノクスは黒い軌跡をなびかせて青空を飛んでいきますのう。


 その後方ではオーリスが黄金の風を纏って何かを狙っているように見えますな。

 このレースも終盤で各々の疲労もたまってきているところですからの。

 疲れが見え始めたところで一気に突き放すつもりかもしれませんな。


「そろそろか」

 オーリスが小声で何かをつぶやいたようですな。

 しかも雷雲地帯から何かの光が二つ飛び出してきたような……

 まさか!! あれは!!


 二つの雷を帯びた光は瞬く間に四つ目の輪を通り過ぎるとブレイズ達に迫ります。


 雷光のような稲妻がジグザグと走りながら空を瞬く間に駆けていくのです!


「やはり来たかフェンにリリスよ! だがその加護が自分たちだけのものだと思うな!」

 なんと! オーリスも体に雷光を纏い、空をかけていく二つの光を追いかけていくではありませんか!


 フェン様と勝様のタッグとリリスとオーリスの三つ巴の戦いになりましたぞ!


 三つの光が交錯し、時にぶつかり合いながらゴールへと向かいます!

 青空に雷の光がキラキラと輝くのは自然現象では見られない光景で幻想的ですな。


「フェンっち、俺の分まで勝ってくれ!」

 シエロが後ろから声援を飛ばしていますな!


「リリス、オーリス、龍としての誇りを見せろ!」

 あのブレイズが声援を送っていますぞ!


「……三人とも勝て!」

 ノクスも熱くなっている!


「うおおおおおおおお!! 優勝は妾と勝のものだ!」

「フェンちんや勝ちん、オーリスには負けないよ!」

「優勝は私のものだ!」


 この勝負どうなるのでしょう! ゴールはもう目前!


「「「「うおおおおおおおおお!!!!」」」」

 三つの光がほぼ同時にゴールを切りました!


 ゴールテープは我らが主スフォルツィア様の貼っている風の結界ですので誰が一位を獲ったは鼻差でわかります。


 スフォルツィア様は、眼を閉じたまましばらく黙っていました。

 しばらくしてからかッと目を見開いてこう言われました!


「この勝負、フェンと勝、リリスが同率一位じゃ!!」


 フェン様と勝様は喜びに沸いています! 観客の風の民もうおおおおおおおお!! と喜びに沸いていますな!

「勝よ、妾たちとリリスが勝ったのじゃ!!」

「勝ちんにフェンちん!! 同率一位だよ! 嬉しいな!」


 勝様やフェン様、リリスは喜びに沸いています。オーリスは沈んではいますが、顔を上げるとニカっと笑っていましたな。


「うん、負けてしまったことは悲しいが、素晴らしい勝負だったぞ!」


 程なくして、ノクスたちもゴールしましたな。青空がキラキラと輝いて若き者たちの前途を照らしているようでしたな。





















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「幻獣ギャンブル ~愛獣と紡ぐ絆の勝利~」 マロン64 @bagabon64

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