シエンス共和国が生んだ天才発明家、ベント・イニオン。彼は、戦争における非人道的な殺戮を是とせず、独自の倫理観に基づき"非殺傷兵器"の開発に没頭していた。しかし、皮肉にもその信念が彼を追放の憂き目に遭わせる。ウィルド王国侵攻を目論む共和国にとって、ベントの発明は邪魔でしかなかったのだ。
追放されたベントは、新天地ウィルド王国で自らの発明品を武器に、新たな人生を歩み始める。持ち前のずば抜けた知略と奇想天外な発明品の数々は、野盗や凶暴な獣ですら容易く退ける。しかし、安息の地を求める彼を待ち受けていたのは、故国シエンス共和国の恐るべき陰謀だった。
ウィルド王国を守るため、そして理不尽で傲慢な世界を変えるため、ベントは立ち上がる。非殺傷兵器を手に、知略を巡らせ、彼は巨大な国家権力という強大な敵に挑む。果たしてベントは、己の信念を貫き通すことができるのか。そして、ウィルド王国の未来は? 型破りな発明家が世界を揺るがす、痛快科学冒険譚!
国内政治によって追放刑となってしまった研究畑の主人公が、敵国へ渡って反旗を翻す異世界ファンタジー作品です。
主人公は誰もが無視できないほどの功績をもたらした人物でしたが、とにかく言葉選びが悪く、空気を読むことも苦手としています。
敵国に大量破壊兵器を使用するか否かの重要な会議にてその悪癖は悪目立ちし、反対意見を唱えたこともあって重い処分を受けることになりました。
追放された主人公は、自分の正しさを証明するために故国と対立する道を選びます。
彼は投下されつつある大量破壊兵器を防げるのか。そして、自らを見下した国に一泡吹かせすることができるのか。
ぜひ読んでみてください。
科学者ベントが、自らが作った武器で敵と戦い、戦争を回避するために奮闘するお話です。
戦争に加担しなかったために国外追放され、人との出会いを経た末に、世界を救うために立ちあがった。
と書くと正義感あふれるヒーローのように感じるかもしれませんが、私はベントを『狂犬』だと感じました。
ベントを敵に回したら怖いことになりそう。
ベントは天才科学者といわれるだけあって頭が良く、話すことも理論整然としており、無駄を嫌う性質ですが、頭がいいだけあって話の通じない人間はお嫌いだそう。
空気が読めないというより、空気を読む必要がないとばかりに、
え?ここでそんな発言をしちゃうの?
と驚くセリフが多いです。ベントにとっては、相手が権力者だろうがゴロツキだろうが関係ないようです。
ベントが立ち向かう先は強大ですが、彼にはオリジナルの武器があります。優れた知能もあります。
必ずや世界を変えてくれることでしょう!
魔法ではなく科学。その力で世の中を変えていく。
いわゆるチートスキルとか現代知識ではなく、「科学」を扱っている点が、何より新鮮で面白いです。
特定のスキルとかとは違い、「科学全般」が主人公の持つ特性となっているため、なんといっても「引き出しの多さ」が期待できます。
「吹きかけただけで相手を隷従させるスプレー」で盗賊や獣を倒すなど、かの『青いアイツ』が使っていた「桃〇郎印のきびだんご」を彷彿とさせるアイテムが序盤から出てくるので、速攻で心を鷲掴みにされました。
主人公であるマッドサイエンティストのベントは圧倒的な頭脳を持ちつつも、追放されて辺境を放浪する。
その先で盗賊ギルドの連中と遭遇し、得意の科学アイテムであっさりと撃退。
間違いなく、この先もあの『青いアイツ』のように様々なアイテムを駆使し、多くの問題を解決していくことでしょう。
『青いアイツ』は劇場版だとしょっちゅうポンコツ化してせっかくの道具を使いこなせずに終わりますが、この作品のベントはきっとそんなヘマはやらかさない(と期待できるオーラが出ている)。これからどんなアイテムが出現し、どんな活躍を見せてくれるのか。
どんどん勢力を拡大していけそうな布石も早くから登場し、序盤から一挙に引き込まれます。今後の活躍に目が離せません!