第6話 のじゃロリ巫女ちゃん幽霊の正体は凄かった?
★
「
「……?」
「……?」
「二人して何を呆けておるのじゃ?何か一つ反応ぐらいせぬか。いや、もしやお主ら妾に恐れ慄いて声すらだせぬのか?カカッ!やっと妾の偉大を理解したようじゃの!よいぞよいぞ!」
のじゃロリ巫女ちゃん幽霊が一人で何かを言っているが、その言葉はあまり耳に入ってこない。何故なら、彼女が最初に発した【真域】という言葉について考えていたからだ。
のじゃロリ巫女ちゃん幽霊と出会う直前、周りに沢山いた巫女さんの幽霊が一体もいなくなっていた。更に、辺りが異様に静かになった。そして、真域という言葉。もうほとんど確定と言っていいだろう。
「ねぇ、ロリちゃん。質問したいことがあるんだけど、いいかな?」
「なんじゃ改まって、聞きたいことがあるなら聞けばよいのじゃ。あと、妾はロリちゃんじゃないのじゃ!妾には
「ありがとう!それとごめんね、神奈ちゃん。あと、私の名前もちんちくりんじゃなくて
「分かったのじゃ幽華……それと、ごめんなさい……ほれ!妾も謝ったのじゃ!聞くことがあるならはよう言うのじゃ、幽華!」
「うん、じゃあ聞くね。あのさ、ここって【真霊スポット】なの?さっき言ってた【真域】と多分同じ意味だと思うんだけど」
ずっと疑問に思っていたことを聞いた。
真霊スポットとという名称は、みーちゃんやその他の霊力の強い者たちの間で使われている名称にすぎない。ならば、中に住まう幽霊たちの間で使われている本当の名称は、【真域】なのではないかと。
「なんじゃ、真霊スポット?この場所の名は真域じゃ、そんなへんてこな名前ではないのじゃ!いや、思い出したのじゃ!前に真域のことをその名で呼んでおった
やっぱり、この場所は真霊スポットだった。知らないうちに迷い込んでしまったようだ……
そして、彼女の口ぶりからすると、彼女がこの真霊スポット改め真域の主なのだろう。【真霊】という言葉が真域の主を表す言葉なのだろうが、それにしては、彼女は人間味が溢れすぎている気がする。真霊スポットはとても危険な場所であるはずなのだが……
気になることが山程あった。だが、それについて質問しようとしたときに、放ったらかしになっていた
「ねぇ、二人とも私のこと忘れてない!二人だけの世界に入り浸らないでよ!私すっごく寂しかったんだから!」
「ごめんなさい……」
「ごめんなのじゃ……」
とても申し訳ないと思った。そして隣でシュンとした表情で謝っている神奈ちゃんを見ると、ますますこの森の主であるとは思えない。
だが、神奈ちゃんと出会ったときの凄まじい霊力を思い出すと、真実なのだなと痛感する。
「幽華ちゃんばっかり質問しててずるいから、今度は私の番ね!まずは自己紹介からするね!私の名前は美琴、よろしくね神奈ちゃん!それじゃ質問です、ねぇ神奈ちゃん、あなたは幽霊さんなの?」
「美琴じゃな、こちらこそよろしくなのじゃ!それで質問のほうじゃが、美琴は今更何を言っておるのじゃ?先程も申したろう、妾はこの真域の真霊じゃと。じゃから、当然幽霊に決まっておるのじゃ」
「やっぱり神奈ちゃんは幽霊さんだったんだね!幽華ちゃん、凄いよ!私にも幽霊が見えるようになったみたい!さっきまでは全く見えていなかったのに不思議だね!でも、やった〜!」
美琴さんがぴょんぴょん跳ねながら私に幽霊が見えるようになったことを伝えてきた。とても眼福な光景に私は一瞬気を失いかけたが、気合で持ちこたえた。
だが、確かに不思議である。神奈ちゃんの霊力はとても凄まじいが、霊力がどれだけ強かろうと見えない人には見えないのである。そのため、美琴さんが神奈ちゃんを見ることができている理由が、未だによく分からない。
「幽華も美琴も、妾のことを大分
「えっ、じゃあ私が見えるのって神奈ちゃんだけってこと……やっと私もお母さんや幽華ちゃんみたいに幽霊を見えるようになったと思ったのに……」
「あっ……まあ、そんなに気を落とすでないのじゃ、真域にいる間は妾の姿が美琴にも見えるようにしておくのじゃ。それに、妾と同じ真霊ならば、美琴にも見ることができるじゃろう。妾はちと特殊じゃから真霊でありながら姿を隠すことができるのじゃが、他の真霊は皆、真域の中でならば誰でも見ることができるのじゃ」
「そうなんだ!その真域?って場所は幽華ちゃんがさっき言ってた通り心霊スポットと同じ意味ってことなの?」
急に美琴さんから話題を振られた。神奈ちゃんが真霊の中でも特殊であると言っていたため、確かに特殊だなと考えていた矢先の質問だったため、少し回答に困った。
「そうですね、神奈ちゃんの話からするとそうなりますね。ですが、多分美琴さんが想像している心霊スポットとは違います。心の霊と書くのではなく、真の霊と書いて真霊スポットです。この真霊スポットと呼ばれる場所は、本来危険な場所なんですよ。そしてそこの主である真霊は本当ならば危険な存在なはずなのですが……神奈ちゃんが特殊すぎます。なので、絶対に行こうとは思わないでくださいね!」
「へぇ~そうなんだ〜、分かった、絶対に行かないよ。うん、絶対に行かない!」
「美琴さん、お母さんや私のように幽霊を見えるようになりたい気持ちは分かりますが、真霊スポットは本当に危ない場所なんですよ。なのでお願いです、絶対に行かないでください」
「分かった、幽華ちゃんにそこまで言われちゃったら、遊び半分では行かないよ。でも、私はお母さんを探さなくちゃいけない。これからも沢山心霊スポットに行くことになるから、その中で今回の神薙の森みたいに心霊スポットだと思った場所が真霊スポットだったみたいなことが起こるかもしれない。それでも、私はお母さんを見つけたい……」
こんな悲しそうな顔をさせたかったわけじゃない。だが、美琴さんのお母さんを見つけたいという気持ちを蔑ろにしてしまったのは事実だった。でも、同時に美琴さんに危険なことをしてほしくないというのも本音だった。
だから、私の答えは一つだ。
「美琴さんのお母さんを探すの、私にも手伝わさせて貰えませんか?」
「えっ、いいの!?確かに幽華ちゃんがいればとても心強いけど、どこにいるかも分からないんだよ。しかも、真霊スポットは危険な場所なんでしょ、幽華ちゃんまで危険に飛び込ませられないよ」
「はい、それらを加味したうえでお願いしています。それに、美琴さんが一人で探すよりも、二人で探したほうが効率がいいじゃないですか!私なら幽霊も見えますし、お役に立てると思いますが如何でしょうか?」
「うん……ありがとう、幽華ちゃん!採用で!幽華ちゃんにもお母さんを探すの手伝ってほしい!これからもよろしくね、幽華ちゃん!」
「はい!こちらこそよろしくお願いします、美琴さん!」
何だかとてもいい雰囲気だった。このまま二人だけの世界に入り浸っていたかったが、百合の間に挟まろうとする男改め、百合の間に挟まろうとするロリババアがいた。
「なんじゃこの空気は?お主らそういう関係なのかえ?」
「何言ってんだ、このロリババア?」
「ち、違うよ神奈ちゃん!」
「おい幽華、お主またロリババアと言いよったな!妾はもう怒ったのじゃ!もう幽華とは口を聞かないのじゃ!」
「ごめんごめん、もう言わないから。あっ、やっぱりよく見たら、神奈ちゃんはとっても雅な真霊さんだね!私惚れ惚れしちゃう!」
「カカッ!やっと幽華も妾の魅力に気がつきおったか。まあ、今回だけはロリババアと言いよったことを許してやるのじゃ!次からは気をつけるのじゃぞ!」
チョロいな神奈ちゃん。
それにしても、神奈ちゃんはなんてことを言うんだろう、私と美琴さんがそういう関係に……いやいや、まだあって間もないのに何を考えているんだ私。美琴さんのことは好きだけど、決してそういう意味ではない!
でも、この感情は何なのだろう?ああもう、考えても拉致があかない。とりあえず話題を振らないと。
「ずっと疑問だったんだけど、神奈ちゃんを含めて、神薙の森にいる幽霊はなんで皆巫女さんの服装なの?」
「なんじゃその質問は、そんなのここにいる幽霊が皆、元は巫女だったからに決まっておろう」
「じゃあ、なんで元々巫女さんだった幽霊しかこの森にはいないの?」
「うむ……そうじゃな、いい機会じゃからお主らに一つ昔話でもしてやるかの。どうしてこの森に巫女の幽霊しかおらんのか、その理由も分かるはずじゃ」
そして、神奈ちゃんは昔話を話し始めた。この神薙の森で起きた、悲しい出来事について。
「それじゃ語り始めるかの、この巫鬼の森で昔にあったことについてのう」
心霊スポットに綺麗な人が入っていったから後を追ってみた 〜あっ、私怖いのは苦手でした……〜 マロモカ @nyuno1228
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。心霊スポットに綺麗な人が入っていったから後を追ってみた 〜あっ、私怖いのは苦手でした……〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます