指輪を狙う盗人は、持ち主である王子を救う?

指輪を盗もうと王子の屋敷に忍び込み、あっさり捕まってしまった男、マルセイユ。
一介の盗人が王子の屋敷に忍び込むなどしたら、捕まるのも当然。と言いたいところですし、実際その通りになったのですが、この王子シルヴィエというのが、実に訳あり。

彼の父は先代の王ではあるのですが、その座は奪われ、自身は罪を着せられ監禁中の身。この屋敷からも、自由に出ることは叶いません。

そのシルヴィエですが、大変な美貌と、それに少し変わった完成の持ち主なのかもしれません。なにしろ、盗人であるマルセイユに、しばらくこの屋敷に留まるよう言ってきたのですから。

屋敷に留まる中、マルセイユはシルヴィエに惹かれていき、彼の命を救おうと奮起する。盗人は、王子を救うことができるのか。

……と、これまで書いてきたことも、決して間違いではありません。自分も途中までは、本作はそういう物語だと思って読んでいました。
しかし、本作の持つ魅力はそれだけではありません。
今まで思ってきたこと、この物語の形が、根底から変わっていく。そんな仕掛けが、このお話にはあるのです。

ですが、ここでそれを言ってはつまらない。
できることなら、このレビューを読んで興味を持った方は、このレビューのことを一度頭から消して読んでほしい。
驚きと、本作の持つ魅力を、より一層味わえることでしょう。

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