これからよろしくね
結局清水さんを黙らせる事は出来なかったが何とか放課後の時間まで無事でいることは出来た。そして今は生徒会との顔合わせ、正確には生徒会長、副会長と二年生の各クラスの委員長との顔合わせに向かっている。本来は副委員長が決まっていないので委員長だけでいいのだが、うちのクラスはもう決まっているので参加してこいと言われてしまった。
「はぁ~緊張するなぁ」
ため息をつきながら呟くと隣から呆れたような声で奏が話しかけてくる。
「何情けないこと言ってるのよ、ただ顔合わせに行くだけなのよ。しかもあんたはついででしょうが」
「そりゃそうなんだけどさー、でも他のクラスは副委員長参加していないんだから僕だけ浮くじゃん」
「ぐだぐた言わない、ほら着いたわよ」
生徒会室のドアをノックして僕たちは生徒会室に入ると人数が揃っていた。どうやら僕たちが最後だったようだ。
「すみません遅くなりました、四組の委員長の雪村奏です。隣にいるのが副委員長の凪野光です」
「はい、ご丁寧にありがとうね。みんなにはさっき自己紹介したけど改めてするわね、この学校の生徒会長をしています
「副会長の
「それじゃ一応挨拶は終わったし学校行事もすぐには無いからこれで終わりにしようと思うわ、短いかもしれないけどこれから嫌でも顔を合わせることになるんだから最初くらいは短くてもいいわね」
「会長、これでは流石に短すぎでは」
「何か大くんが言ってるみたいだけど今日はこれでおしまいにしましょう!また今度ね」
「会長、大くんだけは本当にやめて下さい…」
何だか訳のわからないうちに終わったようだ、本当に顔合わせだけなんだな。少し拍子抜けなんて思っていると奏が近くに寄ってきた。
「だから言ったでしょ顔合わせだけだって、ほらさっさと準備して帰るわよ」
「え?僕は構わないけどいいの?今まで別々に帰ってたのに」
「あのねぇ前より暗くなるのが遅くなったからといってもまだ日は短いのよ。夜道を女の子一人で歩かせる気?ボディーガードをさせてあげると言っているんだからありがたく受け取りなさい!」
「え?あぁ分かったよ!」
「何よ急に元気になって。変なの~」
理由はどうあれ一緒に帰ることが出来るようになるのは嬉しい。急いで準備して帰ろうとしたときに見覚えのない人が奏に話しかけてきた。
「初めまして雪村さん、一組の委員長の
「鈴木くんね、こちらこそよろしく」
「ところで隣の彼は?」
「うちのクラスの副委員長の凪野よ。ほら挨拶」
「四組の副委員長の凪野です。これからよろしく」
「…凪野くんだね、これからよろしく」
気のせいだろうか、何か睨まれてるような気がするんだけど。
「じゃ私たちは帰るから、また今度ね鈴木くん」
「あ、一緒に帰るんだ?二人は仲がいいんだね」
「家が近いだけよ、またね」
「うん、またね」
やっぱり気のせいじゃない気がしてきた。生徒会室を出るときが一番ひどかったし、どうも奏は気づいてないみたいだけど。
「どうしたの?」
僕の異変に気づいたみたいで奏が心配そうに覗きこんできた。
「いや、大丈夫。思ってたり何も無かったから気が抜けただけだよ」
「何よ心配して損した」
「あはは、ごめんごめん」
そして僕たちは久しぶりに二人で家まで帰った。懐かしくて何か不思議な感じだったけど、これが前のように出来るようになっただけでも副委員長になったかいがあると思った。
「じゃまた明日ね」
「うん、また明日学校でね」
家の前で奏と別れたあと先ほどの出来事を考えていた。奏関連で嫌みを言われるのはもう慣れたけど、何かいつものとは違う、いつもより強く憎まれている感じがした。この事はあんまり奏に話したくない、というか話したところで解決策には直結しないだろう。この問題は多分僕が原因だし彼女に変なところで心配されたくない。これは僕が自分で解決するんだ、彼女に気づかれないように。
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