名前
「…何か気分悪い目覚めだな」
ひどく懐かしい夢を見た気がするが、時間を確認するとゆっくり思い出している暇はなさそうだ。
急いで下に降りて母さんが作ってくれていた朝飯を食べて準備をする。
家を出ると隣の幼なじみの家が視界に入ってくる。昔はよく遊びに行っていた馴染みのある家なのだが、今はよっぽどの用事が無い限りは行くことがない。ちなみに僕の部屋と幼なじみの部屋はちょうど向かい合うようになっていて顔を見たい時はいつでも見えるようになっているのだが、カーテンが開いた所を久しく見ていない気がする。とりあえず余計な事を考えるのは止めて学校に向かうことにした。
まだ桜が咲いている通学路を抜けていくと僕の通っている南川高校が見えてきた、進学校にしては比較的生徒の意見を尊重してくれる珍しい学校だ。
中学の成績ではギリギリだったけど無事に合格することが出来て、去年は充実した一年間を過ごすことが出来た。
そして今日から新学期、新しい学年になり、クラスも変わるため新入生ほどでは無いが多少の緊張もする。
そんなことを考えていると長身の男が横に並び話しかけてきた。
「久しぶり、家が近いと逆に休み中は意外と会わないものだな」
彼は
僕の友達で中学からの同級生でもある。
「久しぶり、近いといつでも遊べる気がして予定を後回しにしてたら結局休み中会わなかったもんね」
そう答えた僕は
今日から南川高校の二年生になる。
「今日から新学期だけどまた同じクラスだったらいいな、早くクラス分け見に行こうぜ」
悟が急かしてきたので慌ててクラス分けが出ている場所に行くことにした。
僕が人混みを苦労して抜けると悟が嬉しそうな顔をして待っていた。
「やったな、また俺たち同じクラスだ!」
その言葉を聞いて僕も安堵しながら一応確認する、確かに同じクラスだ
「あっ…」
「どうした、光?」
僕の異変に気づいた悟が声をかけてくる。
「いや、何でもない。クラスも同じと分かったし、とりあえず教室行こうぜ」
僕がそう提案すると
「まぁそうするか」
そう言って悟は頷き、僕たちは教室に歩いて行った。
教室に行く途中で僕は先ほどの出来事をふと思い出す。クラス分けの中にある名前を見たとき、僕は思わず固まってしまった。その名前は
彼女は僕の幼なじみであり、僕が誰よりも大切な人。しかし僕は同じクラスになれたのが嬉しくて固まったわけではない、むしろ逆の理由だ。なぜなら僕は彼女に他の誰よりも嫌われているからだ
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