六の中 集結、反秦連合軍
数々の豪傑たちを味方に引き入れ、
彼らとともに本格的に動き出すにあたって、気になるのは各地の情勢の変化である。
特に、まっさきに蜂起した
そこで、調査のために人を派遣したのだが。
その結果もたらされた報告は、予想だにしないものだった……
*
はじめのうち、
すると、こんなことを吹き込む
「
しかし、
「いけません。
それなのに、
今はただ、すみやかに兵を率いて西に進出し、滅びた六国の後継者を
敵が多くなれば、
だが
ついにみずから王位につき、
これに対して、
この一戦に、
そして、ほうほうのていで逃げる途中、自分の手下の
*
「なんたることだ!
わしは諸侯を
こうなったからには、もう軽々しく軍を進めることはできんな……」
だが
「心配ご無用。
一方、
『
ゆえに、我らの取るべき道は一つ。早期に
さすれば天下はみな喜んで、『項将軍は自分のためにやっているのではない。
こういうやり方こそ、天下の大義というものよ」
そして
*
しかし、捜索は困難を極めた。
アテもなく探索に向かった者たちは、みな何の成果もないまま帰還し、その旨を報告するばかり。
いらだった
「もっと詳しく探すのだ」
と重ねて命じた。
「
そこで、山林などの民家を、しらみつぶしに探し歩くことにした。
虚しく国中を巡り巡って、しばらく時が経ったある日。
川岸に、羊飼いの子供たちが集まっていたのだが……
見れば、大勢で一人の少年を追い回し、散々に殴りまくっているではないか。
殴られている少年は清らかで整った顔立ちをしていて、どこか並の人物ではないように思える。そしてこれほど手ひどく殴り続けられても、じっと耐え忍ぶばかりで、怒る気配さえ見せないのだ。
「いかさま怪しい」
「君、どうしてあんなに殴られていたのだね?」
少年は答えた。
「彼らはみんな、この土地に父や母がいる子供たちです。僕だけ父親がいなくて、お
それでつい、『お前たちは父母がいるが、みんな農民の子だ。僕は父なしで他人に使われている奴隷だけど、もとは王侯の子孫なんだ!』と言い返したら……やつらを怒らせてしまって」
「ほう、王侯の子孫か。祖先の苗字はなんというのだね?」
少年の目に、サッと警戒の色が浮かんだ。
「僕は幼い頃からここに住んでいるだけだから。王侯の子孫と聞いたことはあるけど、先祖の名前は知りません」
すると、少年が急に逃げ出そうとする。
「君の顔立ちは、並の人物のものではない。貴相といって、のちのち必ず高貴の位に登る人相なのだ。本当のことを教えてくれ。そうすれば、私が君を君主にしてやる」
少年はやむを得ず、うちあけた。
「僕は今年で13歳。この土地へ来てもう8年になります。
以前に老母が言っていました。『お前は
そのまま
「この子の母親を出せ」
「わたくしは単なる山村の農夫です。一体なんの国法に
「お前の罪を問うているのではない。とにかく、この子の母を出せばいいのだ」
老母ははじめのうちこそ隠そうとしていたが、再三にわたる問いかけに根負けし、古い肌着を取りだした。
「これをご覧ください」
かすれてひどく読みづらいので、日陰に行ってじっくり見てみると、そこに書かれていたのは……
『
という文言であった。
さらに、国宝の記録とおぼしき書き付けも添えてある。
「これは間違いない!」
そして
(つづく)
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龍虎戦記 ~項羽vs劉邦~ 外清内ダク @darkcrowshin
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