ザクロの甘さは家族の愛情、ザクロの酸っぱさは血溜まりの味わい

最後にザクロを食べたのはいつだっただろうか。思い出すことはできないが、この小説を読むことで、初秋の涼やかな季節感とともに、みずみずしく甘酸っぱい弾けるような味わいが蘇ってくるようだ。
そして、その精巧な筆致はやがて残酷な風景を映し出す――。

果物の味とともに、凄惨で不条理、けれどほのぼのとした家族愛が描かれる。ザクロの複雑な味わいを恐怖とともに語るホラー小説の佳作。

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