読み進めると突然の展開で驚きました。何の変哲もない日常、のはずだったのですが……この主人公はやってくれる子です!
途中から、ああこうなるだろうと思っていたのに、それ以上の展開が待っていました。そして淡々描かれた日常に中に拡がる、果てしない不条理感。これをどう消化すればいいんだろう。作者の計算された策略に嵌められているんでしょうか。困りましたね。
最後にザクロを食べたのはいつだっただろうか。思い出すことはできないが、この小説を読むことで、初秋の涼やかな季節感とともに、みずみずしく甘酸っぱい弾けるような味わいが蘇ってくるようだ。そして、その精巧な筆致はやがて残酷な風景を映し出す――。果物の味とともに、凄惨で不条理、けれどほのぼのとした家族愛が描かれる。ザクロの複雑な味わいを恐怖とともに語るホラー小説の佳作。
序盤の柘榴を食べる描写がとても上手で、でもどこか不穏さも感じるのが凄く良かったです。熟しきってない青みがかった~という一文、最後まで読んだときに、ああもしかしてそういうことか・・・・・・とゾッとしました。
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