この作品はSFとヒューマンドラマの要素を持ち、超常的な能力と人間の内面の成長が絡み合う物語です。主人公・梓由美は、秘めていた力を使うべきかどうかの選択を迫られます。その決断が彼女自身にどのような影響を及ぼすのか、そしてどのような思いで行動を起こしたのかが、物語の中心にあります。
物語全体を通して、由美の抱える葛藤と、その中で生まれる強さが丁寧に描かれています。彼女が自身の存在意義を見出していく過程には心を動かされます。勇気とは何か、自己犠牲とはどういうものかを問いかけるような展開が、深い余韻を残します。
背景には、家族の絆があります。言葉だけでは伝えきれない想いが交錯する中で、由美の選択の背景には、確かに温かい愛が存在していました。読み終えた後、彼女の行動に込められた意味を考えさせられる、心に残る作品でした。