第1話

序章:恋愛三週目


「…別れよう、梗子。」

あー、またか。

後ろ頭をボリボリ掻きながらそう思った。

これで、三回目。

彼の…いや、アイツの後ろ姿を遠目に見ながら思い返す。

「…ごめん。」「…ちょっとキツいわ。」

そんな一言で、別れ話を切り出し早々と出ていく。

これが人生で三回目の失恋だった。

こっちから振った事はない。

彼氏の方から一人、また一人と消えていくのだ。

「…なぁんでこんな事になるかな。」

吸っていた煙草を落とし、ヒールで潰す。

環境改善に協力する気持ちにはなれなかった。

今日はとことん酒を飲んでやる。

夜空に一言。

「…クソッタレ。」

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