第8話

4話:恋が沈んだ、朝が来る


「…ごめんなさい。」


頭を下げ、戸雅は早々と立ち去る。

呆然とした男性が廊下に取り残された。

たった今、戸雅は振った。

相手はイケメン高身長。

年も近く彼氏にするには充分。

だけど、人生経験は物語る。

"コイツは駄目だ"と。

私以外がアンタを好きになってくれるでしょ、と振り切った。

…もう、私にとって恋は必要じゃない。

恋だけが人生じゃない。

「…私は上手くやれてるよ、恭々橋さん。」

結んでいた髪を解く。

微かに微笑みながら戸雅はゆっくりと歩き出した。

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