第9話

4話:恋が沈んだ、朝が来る


「…すみません。」


目の前の女性に軽く頭を下げると、俺は背を向けた。

たった今、告白した女性を振った。

仕事先で知り合った女性で、同い年くらい。

綺麗だし、仕事ができそうな雰囲気だった。

けれど、俺はもう恋をしないと決めたから。

そう言うのは止めたんだ。

今も時々ほろ苦い思い出を思い出す。

しかし、不思議と辛くなかった。

恋は盲目。

洗脳に近いもの。

苦しいのは止めにしたんだ。

自身の解放のために。

「…俺は大丈夫ですよ、戸雅さん。」

パシッと頬を叩く。

喝を入れた。

今日も頑張ろう、眩しい朝日に目を細めながら歩き出した。

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