概要
風に、彼岸花が揺れていた。
真っ赤な彼岸花が幾つも咲き乱れて
揺れていた。夏の名残の陽炎が、彼岸と
此岸を曖昧にする。あまりにも幻想的な
墓場の光景。ここより先は、死者の領域。
あの日、垣間見た赫い檻の、その先。
【猫魔岬】『根古間神社祭禮』氏子語り。
実は、生まれも育ちもこの漁師町だっけ、
自衛隊退官後こっちさ戻って守衛の仕事を
させて貰ってるべ。『呪いの網元屋敷』の
謙介は後輩さ。え?よくわかんねぇが最近
そう呼ばれてるさ。ピッタリだべ?
揺れていた。夏の名残の陽炎が、彼岸と
此岸を曖昧にする。あまりにも幻想的な
墓場の光景。ここより先は、死者の領域。
あの日、垣間見た赫い檻の、その先。
【猫魔岬】『根古間神社祭禮』氏子語り。
実は、生まれも育ちもこの漁師町だっけ、
自衛隊退官後こっちさ戻って守衛の仕事を
させて貰ってるべ。『呪いの網元屋敷』の
謙介は後輩さ。え?よくわかんねぇが最近
そう呼ばれてるさ。ピッタリだべ?
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!彼岸花、それは毒を持ち、燃えるように咲く、地獄の花
彼岸花は全草が有毒で、特に球根部分に強い毒があることから、お墓の周囲に植えて、モグラやネズミから遺体を守るのに使われたそうで。
また、別名を「曼殊沙華」と言い、仏教の世界では「あの世に咲く花」などとも言われております。
確かに、その燃えるように赤い花が並んで咲く様子は、地獄で燃え盛る炎のようにも見えます。
日本人にとっては、死と切っても切れない縁のある花なわけですね。
そんな不思議な花ですから、不思議な出来事の一つや二つ、呼び寄せてしまっても不思議ではありません。
この世とあの世の境を曖昧にしてしまいそうな、怪しい魅力を持つ花、彼岸花。
その花の揺らめきを浮かべながら、本作をお読みください。 - ★★★ Excellent!!!線路脇には……飛んできますよね💦
鬱蒼と茂る針葉樹の木立の下に群がり咲く赫。砂利道の周りで獲物を誘い込もうと揺れる赫。緑の草むらにすっくと立つ赫。彼岸花には、見たものに居住まいを正させる気高さと、胸の奥底に巣食う暗い欲望を煽る妖しさがあるように思えます。
猫魔岬の墓地で彼岸花があたり一面を赫い絨毯のように埋め尽くしているのを見た少年たち。その光景に圧倒された彼らは、いつの間にか此岸と彼岸の境目を超え、見るはずではなかった何かが当たり前のように闊歩するのを目撃してしまったのかもしれません。
赤蜻蛉に薄、そして彼岸花。見えないものに急き立てられるような季節が巡ってくるたびに、この、赫に圧倒される、妖しいまでに美しい奇譚を思い…続きを読む