怖さもあるが、それよりも作品全体を通して、読む者に訴えかけてくる情景の鮮烈さが際立っています。そしてその情景の中で綴られる、誰もが持っているかも知れない、幼少期の非日常的な出来事の思い出がじわじわと心に染みてくる逸品です。
この世界は、人間だけの世界では無い動物たちは勿論、植物や昆虫、そして自然それぞれの役割は有り、無意味に存在しているモノなんてのは一つも無い有るべくして在る草木も川も、そして花々も、様々な運命の結果として、そこに咲いている。