3-09 人工衛星サニーの冒険 ~転生した〝元〟気象衛星がお天気令嬢になるまで~(第三会場三位投票)

【対象作】

 3-09 人工衛星サニーの冒険 ~転生した〝元〟気象衛星がお天気令嬢になるまで~

 https://ncode.syosetu.com/n6957jk/10/


【推し語り】

 人間でないもの(異なる生物であれ無機物であれ)が絡む転生話は好きです。

 人ではない何かの感覚を疑似体験するのっていいですよね。フィクションでなければまず絶対にできないことですし。

 そして、やりようによっては五感すべてに訴えかけられる小説媒体は、人ならざるものの生き様を描くのに適しているようにも思います。


 という次第で、この話も好きです。

 人間ではない人工衛星の感覚を描いてみよう! という作者さんの意気込みが随所に見えて、個人的にとても好感触でした。

 いろいろなところで、機械的な信号やデータと五感とが相互変換されていく様子が好きです。筆者は本業がIT技術者でして、たまに「五感がデジタル化されたとしたら、電子データを通して伝わってくる感覚はどんなものなのかなあ……」とか考えることがあるのですが、その立場からもほっこりと楽しませていただきました。


 書き出しとしては「この先、何を期待して読めばいいのか」が明瞭なのもポイント高いですね。

 これから彼女は、気象予測の能力を活かして世界のありように関わっていくのだ……と容易に想像がつきますし、その道行きがポジティブなものだろうという手応えも、タイトルあらすじを含めて伝わってきます。


 正直、細かい事実関係部分ではツッコミどころも多いように思えるのですが(通信が生きている状態の人工衛星が破壊されたら、世間はともかく管制センター等の管理者サイドには超絶大問題と認識されるのでは……とか、メイドさんの職種を認識できるのに若様を尊称と認識できないのは若干無理がある気がする……とか)、全体に漂うほっこり感のおかげで「まあ細かいことはいいか!」という気持ちになってきます。

 それもまた、本作の長所のひとつかもしれないなあと思った次第です。

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