あとがき

 お読みくださいましてありがとうございました。


 『空色の季節 夜明け前の出会い』

https://kakuyomu.jp/works/16818093081897008463

で始めた「空色の季節」の物語は、少しずつ続きを書いて行こうと思っています。


 それで、その「空色の季節」の設定を考えるなかで、美和みなの家族のヒストリーができあがって行きました。それをただの設定にしておくのももったいないと思って、こうやって形にしました。

 こじか食堂や清華せいか食堂は、そのモデルも含めて実在しません。街の歴史も架空のものです。

 でも、それがたどって来た時間は私がここまでたどってきた時間と重なるので、それがいとおしかった、ということもあります。


 「ちぐはぐ」な構成になってるな、ということは、書いた私も自覚しています。

 本来なら、第5話と第6話のあいだに、三倉みくら七郎しちろう記者が初子に一目惚れする話と、初子はつねが自分の父親と通信をつなぐ話、大塚おおつか万次郎まんじろう局長が初子の父と話をする話というのがあるべきなのでしょうが、そこをぜんぶすっ飛ばして、七郎と万次郎の回想の話にしてしまいました。


 書いたのはしばらく前なので、何を考えていたか、というのはもう正確には思い出せないのですが。

 一つは、「一目惚れ」というシチュエーションをどう書いていいかわからなかったということがあります。

 また、初子のお父さんがどんなひとかまだ私にもよくわかっていない、ということで、こういう構成になりました。設定はあるのですが、どんな容姿か、どんなしゃべりかたをするひとかというのが、まだ整理がついていなかったのです。


 最後まで書いたいまは、初子の両親についてももうちょっと具体的に姿が浮かぶようになりました。

 初子に、「初子と書いて」という、娘が必ず苦労するような名をつけたのはこの両親(とくに父親)なのですが、その経緯も、いちおう構想のなかにあります。

 このシリーズが続いて行くなかで紹介して行きたいと思います。


 二人の記者が帰ったあとは、いつもどおりの、女の子二人の物語です。

 「美和の家族について書いたので、初子の家族も紹介しておかなければ」と思い、初子が両親を語る、というお話になりました。


 初子は、『空色の季節 夜明け前の出会い』で、春の夜明けに美和の家の屋上に突然現れて美和に出会うわけですが、夜明け前から娘が外出して親は怒らなかったのか、ということの説明でもあります。

 もともと家に親がいない。それに、親も、自分たちが危ない生活をしているので、娘のことをとやかく言えない、またとやかく言う意識がない、ということです。


 なお、お話の中に出て来る紛争地については、現実の紛争地のどこがモデルということはありません。むしろ現実の紛争地に完全に一致してしまわないようにと考えています。


 「空色の季節」の次の物語は、また美和と初子の物語が中心になる予定です。

 それでは、またよろしくお願いします。


 清瀬 六朗

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こじか食堂の奇跡/軌跡 清瀬 六朗 @r_kiyose

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