こんなにロックな小説にはなかなかお目にかかれない。
題材は合唱という、ともするとお行儀よく思われがちな音楽なのだけれど、主人公が合唱と出会い惹かれていく初期衝動がまずロックである。
しかし希望を抱いて入部した合唱部は、大人の愚かしさによってちょっとした事件に巻き込まれ、体面ばかり取り繕おうとする大人たちによって振り回されていく。
だからといって彼女たちは黙って潰されたりしない。
最後の最後で、その歌声で強烈なカウンターをお見舞いする。
無論それにより全てが解決して大団円を迎えるわけではない。
彼女たちが失ったものは大きく、結末はあくまでも現実的だ。
だからこそクライマックスの合唱シーンが美しく輝くのだ。
その一瞬だけは全員の心が一つになっていた。
たとえ一瞬でも、あるいは一瞬だからこそ尊く、ロックなのだ。