舞台は王朝が支配する中華をモチーフにした、皇室と貴族階級が統治する国・灌(かん)。
前世は21世紀日本のオタク・昕晨星は、色褪せない初恋を胸に閉じ込め、皇帝からの要請で後宮入りします。
時期は、灌・初代皇帝が倒れ、後継者争いで揉め、反乱もあちこちでおき、ようやく平和が訪れた頃。
灌王朝二代皇帝の妃候補として後宮入りすると、なんと、現皇帝は以前昕(きん)家で共に暮らしていた友達の直くん。
晨星と直、そして晨星の初恋相手・舜雨。
昕家で共に暮らし、仲良しだった三人。晨星と舜雨は両思いで、直はてっきり既に結婚しているものと思い込んでおりましたが、ところがどっこい。二人の想いと事情は入り組んでおり、互いの想いも明かしていないときたもんです。
二人が大好きな皇帝・直は、二人をくっつけるために色々と画策して……。
という筋書きでコメディちっくに書かれる訳ですが、実際のところそんなに甘い設定でもありません。
内乱により流れた血、蔓延る暴力、性的搾取、律令に基づく身分制度や家父長制などの不平等。
前世・21世紀日本の記憶を持つ晨星にとっては受けいれがたい現実です。晨星は時に傷つき、時に反発し、時になんとかしようと模索します。落ち込むこともあり、苦しむこともありますが、意に沿わないことに対してはハッキリと拒絶や抵抗を示せる強さを持っています。
晨星は苦悩の中で理想的で平和な『物語』を模索しますが、この世界の倫理・道徳では受けいれられないものもあります。しかし、そんな『物語』を肯定してくれた人のために必死に歩みを進めます。
一方の舜雨は、元は殺手(暗殺者)であり、現在では昕家の人間として武官をしています。殺手としての過去があり、更には晨星を殺害しかけたことから自身の本心を律しています。
晨星と舜雨。二人とも自罰的なところがあり、それが二人を隔てる大きな壁となっています。
そんな二人の間に入り、仲を取り持つ皇帝・直。
皇帝でありながら晨星以外の妃(候補)を後宮に入れず、晨星のとある身分上の秘密もあり、なにやらきな臭い陰謀がうずまく中、はたして晨星と舜雨の恋の行方は――?
ただの恋物語ではない、情にあふれる物語。
晨星と舜雨、そして皇帝・直。三人の物語の行く末をご堪能ください!
皇帝からの要請で、後宮入りする事になった晨星(しんせい)。
もう結婚する相手もないと晨星はやけっぱちだったのだが、まさかの皇帝は顔見知りの直だった。
前世の記憶がある晨星は、後宮に入ったからといって、じっとしてなんかいない。どうせならとオシャレして、創作して、政治にも介入したり⁉︎…と大忙し。
コメディのよう明るい調子で進むが、皇帝との関係は……顔馴染みの友人のよう。それもそのはず、皇帝の目論見は別にあった。
晨星と直、そしてもう一人の幼馴染。それこそが、晨星にとって最も重要な相手なのだ。
後宮でありながら、恋の相手は皇帝じゃないという所が見どころだろう。
果たして迎える結末は、皇帝の目論見は。
是非是非、最後まで読んで頂きたい。
オススメです。
中華風の世界に転生した元日本のオタク学生、晨星。
彼女は戦乱の時代を乗り越えた新たな皇帝の妃候補として後宮入りします。
しかし皇帝は晨星を自身の妃にする気はなく、むしろ初恋相手の舜雨を呼んでくっつけるつもりでした。皇帝の特権を駆使して暗躍するのはかつての友人。三人の仲の良さは微笑ましく、互いに思い合う温かい関係性です。
晨星は前世との違いに悩み、知識を活かして国の発展に貢献したり、オタクの輪を広げたり、後宮での生活は騒動続き。理不尽を諦めない彼女は周囲に影響を与え変えていきました。
そして晨星自身や舜雨の気持ちにも変化は訪れます。
明るく楽しいラブコメと考えたくなるシリアスな内容が混ざった素敵な物語です。
転生した先で皇帝に呼び出されて後宮入り!普通なら皇帝がヒーローになるところですが、この皇帝、全力で主人公ともう一人の友達の仲を応援するカプ推しだ!
面白い設定ですが、最後まで読むと相手役が皇帝じゃない意味も分かります。
中華ファンタジーは個人的になじみがなく、用語や時代が分からないところがあるのですが、そこは元日本育ちのおたく、途中の説明が大変分かりやすい!
けれど、世界観や用語の説明だけに必要な前世設定ではなく、主人公の晨星が今の世界で感じるギャップや決意にも通じるところがよかったです。それが彼女の言動の後押しになっていきます。
そんな晨星も想い人の舜雨くんや皇帝の直くん、周りの人々に感化されて少しずつ変わっていく。
后にはならないけれど、彼女が後宮に来た意味はある。
すれ違いながらも、互いを大切に思っている晨星と舜雨のときめき。
そんな二人の恋を成就させるために、壮大な陰謀に巻き込む直くん。
友情と愛情と、物語と華ロリ(?)が交錯していく優しくも素敵な中華ファンタジーです。おすすめです✨
皇帝からの要請で、後宮入りした晨星。実は彼女には既に舜雨という想いを寄せている相手がいたのですが、残念なことにその想いが実る気配はなく、やけっぱちになって後宮入りしたのです。
そんな晨星を見て、彼女を呼び出した皇帝陛下は思います。
いやなんで結婚してないの!?
実はこの皇帝陛下、晨星や舜雨の共通の友人であり、二人がくっつくことを望んでる。というか、既に結婚してると思っていました。後宮に誘ったのだって、本当は妻にするためではなく、宮官として働いてくれたらと思っていたから。
なのに肝心の二人は結婚どころか想いが通じ合ってすらいないのです。まさかこんなことになっているとはと、この二人のカップリングを推す身としてはため息だって出ちゃいます。
そんなすれ違いラブと共に本作の要であるのは、晨星に前世の記憶があるということ。前世の彼女は、日本でオタクをやっていました。
当然、この世界にはない知識だってたくさん持っていて、物語を語ったり、華ロリを作れないかと提案してみたり、宮廷にオタク文化を広めます。
実は華ロリというファッションがあること、この話を読んで初めて知ったのですが、実に可愛いのです。これはぜひとも広めてやりましょう!
ただその一方、現代日本の常識や倫理観が残っている晨星にとって、この世界の仕組みや制度は心苦しくなることもある。
そんな、コメディやってたと思ったら真面目に考えることもあるという温度差が、晨星の、そして本作の魅力です。
宮廷にオタク文化の花は咲くのか。そして、やけっぱちになってしまった晨星の恋は、どうなってしまうのでしょうか?
舞台は中華風のファンタジー世界です。
前世は日本人の少女、昕晨星は内乱で両親を亡くし養父に育てられます。
そんなある日、晨星の初恋相手、舜雨が直という行き倒れていた少年を保護します。
しかし実は彼は皇帝の末子であり、皇位についた彼は後宮に二人を呼び寄せるのですが、晨星と舜雨は大人になっても結ばれていませんでした。
彼は二人をそばに置いて友人として暮らすようになりますが……。
現代のオタク知識を持っている主人公は後宮に物語や服飾の文化を伝えて後宮の人々と通じ合い、その中で皇帝制度の在り方について疑問や矛盾を感じます。
そして皇帝である直や舜雨とのあるべき関係について考えていくようになります。
現代のポップカルチャーで後宮に新しい風を起こしながらも、皇帝や初恋の幼馴染との関係性が進んでいく様を描いた中華ファンタジーラブコメです。
後宮ものと転生要素が好きな方におすすめの一作です。
王妃候補で後宮入りした主人公の晨星。
皇帝であり友達である直くん。
そして、二人の共通の友達の瞬雨くん。
この三人を中心に物語は進んでいくのですが…… 晨星は転生者でいろいろと時代を先取ったりと、なかなか面白いキャラクターです。
そんな中、直くんにはある計画がありました。
それは、晨星と瞬雨くんをくっつけたい! というもの。
実はこの二人、仲は良いもののいろいろあって進展してないのです。
推しカプをくっつけたい……その想いから、皇帝自らが動き出すという、中々類を見ない中華ファンタジーの恋愛物語です。
皆様もぜひ、読んでみてください。
王妃候補として後宮入りした晨星。
しかしそんな彼女を待っていた皇帝というのは、かつて一緒にすごして、色々あって離れていた、友達の直くん。
どうして直くんが皇帝になってるの? という、ビックリする状況から始まる本作。
しかし本当に驚くのはここから。
晨星を王妃候補として後宮に呼んだ直くんには、実は別の目的があったのです。
それは2人の共通の友人である瞬雨くんと、晨星をくっつけること!
直くんにとって、2人は推しカプだったわけです。
しかし離れている間にも、仲はいいものの進展していなかった2人をどうにかしてくっつけようと、皇帝自らが動いたのです!
皇帝の妃になるために後宮入りしたはずなのに、その皇帝から他の男とくっつくよう後押しされるって、この時点で面白さ抜群!
そして晨星は、実は現代日本からの転生者。
世界観を飛び越えた面白思考、ビックリ発言を連発。しまいには時代を先取りして、華ロリなんて服をこの世界に作ろうと頑張ります。
ちょっと……いえ、だいぶ変わった、中華ラブコメを、お楽しみください!
本作は古代中国を舞台にした後宮モノの中華ファンタジー。
中華ファンタジーって、独特の専門用語があって初心者には取っ付きにくいところがありますよね?
でも、本作についてはその心配の必要はありません。なぜなら主人公は転生者で、前世は中華な世界観が大好きな日本人のオタクだから!
本作の多くのシーンは主人公の一人称で語られます。そのため、日本人としての知識を総動員して主人公が中華世界の解説をしてくれるので、中華風の世界に不案内な初心者でも物語に置いて行かれることはまずないはず!!!
王妃候補として後宮入りした主人公と、彼女のふたりの男友達が物語の中心人物です。三人の関係はずっと友人のまま、それとも……
というのが、本作の一番の見どころだと思います。
とはいえ友情や恋愛が一番気になってはいるのですが、皇帝暗殺計画もすごく気になる!
キュンキュンもハラハラもあって、読み応えのある作品です♪
最後になりましたが、本作を読んで『華ロリ』というファッションのジャンルがあると知りました。
華ロリ、すごく可愛い!
主人公が華ロリについて楽しく語ってるところ、すごく共感できました☆
肥前氏の後宮物を初めて読んだのは「ギャルの後宮改革」だ。
ギャルが後宮に転生するという斬新なストーリーで、怒涛の如く繰り出されるギャル語に腹を抱えて笑ったのを思い出す。
しかし、本作はそれとはまた一味違った魅力がある。
そう……今回のヒロインは、コミケやコスプレなどの文化を愛する、親近感が湧く転生オタク女子なのだ!
彼女が体験する中華風世界や後宮は、ギャル視点とは違った風景が広がっている。
しかも、前作とは違い「恋愛」要素も多分に入ってくるのだから、思わずワクワクしてしまうのも必然だろう。
ふとした部分でのギャグセンスの秀逸さはそのままに、素敵な男性キャラたちとの友情や恋愛が絡むストーリーからは目が離せない。
肥前氏が紡ぐすばらしい物語を、オタクに親近感を抱く読者の一人としてこれからも心待ちにしたい。